ファクタリングは、一般に貸金業法が適用されると、誤解される債権買取サービスです。
資金調達で、使われるファクタリングが、貸金業法で、規制されるというイメージからくるものですが、実際は、全く異なっており、貸金業法が、ファクタリングの手数料や取引内容を制限することはありません。
そこで今回は、ファクタリングと、貸金業法や貸金事業者の関係について、偽装ファクタリングを踏まえつつ、ファクタリングのメリットやリスク、事例などについて紹介します。

ファクタリングは、貸金業法でルールを定めているのでしょうか?

お銀が詳しいから、説明してあげなさい。
民法を法的根拠としており、
貸金業法は、あまり関係ありません。
ここからは詳しく解説しましょう。

ファクタリングは貸金業法と無関係?
ファクタリングは、売掛債権を売買することによって、事業資金を得る方法です。
債権買取会社が、決済期日前の売掛金を引き受け、代わりに相応の資金を譲渡するため、資金繰りやキャッシュフローの改善に有効とされています。
商習慣では、決済期日が、60日以上の長期になるケースが多く、すぐに、キャッシュを用意したい場合に、便利な仕組みでしょう。
しかし、利用者の中には、ファクタリングを賃金業や銀行業務、手形譲渡と混同し、「貸金業法の対象となる」という誤解が、広まっているのも事実です。
中でも、ファクタリングと比べて、貸金業法が支配する貸金業は、役割や規制の範囲に、大きな違いがあります。
普段は、貸金業法がファクタリングの取引内容を規制することはなく、
債権買取会社の買取サービスと、貸金業法は、原則的に無関係です。


在り方を定める法律です。
これから説明する貸金業との違いにもかかわってきますよ。

貸金業法とは
貸金業法は、銀行や消費者金融の貸付けに対して、規制を行い適正に運用するための法律です。
この法律には、利息制限法との組み合わせによる利息割合の規制や債務に関しての条項が含まれており、貸金を行う特定の業者だけでなく、社会全体に対して、組織や個人の貸金行為に相当することを全般的に規制します。
例えば、個人が、他人に法外な利子で貸付けをすると、貸金業法違反となり、逮捕されるリスクとなります。
そして2006年、多重債務の問題解決として、抜本的に改正された法律です。
2010年には、年収3分の1を上限として、それを超えたら、貸付できないとする「総量規制」が盛り込まれ、新規の貸付けに、さらなる制限を加えたものが施行されています。
つまり、貸金業法は、利息の発生する貸金業を対象とし、違反するものは業者でなくても、検挙されうる法律として、広く事業者間に浸透しているのです。
正式なファクタリングと貸金業の違い
ファクタリングは、債権譲渡(売買)のため、原則として、貸金業法に抵触しないことが常識化しています。
名前を偽った業者やヤミ金を除けば、企業が、ファクタリングを行う債権買取会社と契約を結んでも、貸金業法で、逮捕されたり、裁かれたりすることは、一切ありません。
ちなみに、貸金業法の対象となる貸金業は、担保や利息を取って、借用契約書を交わした返済を前提とした貸付けです。
貸金業法の定める利息率の範囲で行われます。
ファクタリングが貸金業法違反ではない根拠

それも貸金業法違反ではないのですか?
貸付に対して行われます。ファクタリングは、売掛債権の買取なので、
契約は、貸金業法の適用範囲外ですよ。

貸付ではなく買取
ファクタリングは、先に述べたように、債権譲渡(売買)が、金銭の貸付けに当たらないため、貸金業法が対象とするものではありません。
ファクタリングとして、買い付ける行為は、金融サービスとしていますが、一般の個人には、ファクタリングを行わないことや期限を決めて買い取る形にする手数料など、貸金業法違反となるような事案とは、一線を画して、運用していることがポイントです。
そのため、常識的な利用から、外れた派生のファクタリングを始めた事業者が「賃金業者登録」しておらず、貸金業法違反となるケースがあります。
手形の売買の判例
ファクタリングと、似ている取引に手形があり、過去の判例では、手形の売買は「異質なもの」として、貸金業ではないということが示されています。
結果的に、債権取引による資金調達は、貸付けとは、一線を引かれたため、ファクタリングにおいても、貸付けではないとする判断が一般的です。

ファクタリングの場合、基本的には、信用を前提に、額面に応じた取引を行い、同時にリスクもある程度引き受けなければならない点です。
しかし、両者は資金調達の方法としては、近いため、貸金業法の制限に、ファクタリングが、とらわれない理由としてあるのですよ。

ファクタリングを貸金感覚で利用すべきでない理由

貸金のように資金を調達できるでしょうか?
利用を考えるべきではありません。
その証拠に、ファクタリングは、貸付けの規制に際限がなく、
リスクがあります。
登記手続きの費用や、手数料の高さや、手間がかかるなど、
貸金とは、別種の負担です。
それらを踏まえて、利用する必要がありますよ。

貸金業法に守られない
ファクタリングは、基本的に、特定の取引を指して、専用の法律で制限や規則をもうけておらず、民法の規定の範囲内で行われます。
そのため、ファクタリングの取引は、貸金業法で守られているわけではないのです。
通常、利息や期限というものは、貸金業法やそれに関連した利息制限法で、事業者側に規制がかかりますが、以上のリスクを踏まえて、会社が自分たちで、リスクを判断し、債権買取会社を利用する必要があります。
実際のところ、債権買取会社は、貸金業のように、事業者が、国の許可や登録をする必要はなく、ファクタリング業者として、名乗れてしまうのです。
登記費用や手数料が比較的高い
貸金業法などの法律に利息の制限を受ける貸付に対し、ファクタリングは、手数料や登記にかかる諸々の手数料を含めて、高く付くことが知られています。
これは、手形と比べても、高いことが明白であり、総合的な取引手数料としてみた場合、ファクタリングは、2~3割を超えるものもあるなど、手数料負担の大きなサービスです。
ファクタリングの中には、登記の不要な2社間ファクタリングがありますが、手数料が高く、貸金業法の適用を考えると、避けたい選択肢です。
したがって、3社間ファクタリングによる登記費用やリスクを負うための手数料が、高額になりがちなデメリットを利用時には、
引き受ける覚悟が必要でしょう。
初めて、ファクタリングを利用するという場合には、特に2社間・3社間の違いと手数料が、他の資金調達方法より、高いことを考慮することが求められます。
資金提供までの手続きが煩雑
ファクタリングは、資金調達として、期日前の売掛金を事業資金として、現金化するメリットがあります。
しかし、その反面、契約の完了や振り込みまでに、手間がかかることは、1つのデメリットです。
債権買取会社は、事前に、さまざまなヒアリングや資料の提出を受けて、会社事業の経営状況や売掛金の引受リスクを判断します。
そのため、売掛債権さえ用意できれば、すぐに資金を受け取れるという、ATMを使った貸金感覚とは、全く異なるのです。
審査によっては、長いヒアリングや書類対応の後に断られるなど、審査の厳格な基準から中小企業が、断られることも考慮する必要があるのです。


それに応じた買取が行われるのじゃ。
買取で資金調達することは、債権買取会社の判断で、
信用の評価が行われ、手数料の増減や審査で
落とされるなどの信用リスクに対するスタンスが異なります。
信用リスクが、異なるということは、すなわちファクタリングは、
自転車操業の資金繰りに窮する中小企業にとっては、
信用が確保できないことがあることを意味するのです。
中小企業というより、経営不振の会社は、大企業であっても
売掛債権の信用が保証されないと不利に働きますよ。

貸金よりファクタリングを使うメリット

財務諸表の負債のバランスを維持するのに良い点です。
手数料などを除けば、リスクもほとんどないですよ。

キャッシュフローを改善する
ファクタリングが、資金繰りの解消に有効な点は、企業間の商品代金等の支払いが通例で、1ヶ月~数カ月後にずれ込むデメリットを手数料負担だけで、まとまった現金に替えられることです。
売掛債権の状態では、キャッシュでの支払いに向きません。
支払いに現金を必要とする場合に、対応できないのです。
例えば、従業員の給料や公共料金の支払いなどは、現金のみです。
ファクタリングは、こうした資金繰りの問題を解消して、企業経営を正常化するために推奨されています。
それが、複数必要であれば、当然ながら債権買取会社を複数社利用することを検討するのです。
担保のない企業で、貸付けが受けられない時に有用でしょう。
売掛金によるリスクがほとんどない
2つ目のメリットは、売掛金から資金調達に利用するときのリスクが、ほとんどないことです。
実質的に、手数料と契約の手間が、かかるくらいで、正式なファクタリングを介した取引で、利用企業側が受ける損害は、詐欺にあわない限り生じません。
特に、3社間の正式なファクタリングでは、回収リスクも存在せず、契約で償還させる取り決めがない限り、その負債を代わりに、カバーすることもないでしょう。
貸付けのように、ヤミ金に当たり、嫌がらせを受けるなどのリスクもないでしょう。
財務諸表の不記載と節税
ファクタリングのメリットの一つに数えられるのが、財務諸表に借り入れなどを記載することなく、資金調達できることです。
法人税の節約ができ、経理担当の出す決算書のバランスを保つのに役立ちます。
特に、負債として、カウントされない資金調達は、企業にとって、メリットが大きいのです。

ファクタリングが、良いということでしょうか?
どの程度のプラスが出るかは、経営方針を決める時に、
重要なうえ、中小企業は、経営状況が厳しいほど、
決算書にあらわれる負債の問題は顕著です。
これらを最小限に抑えて、企業の経営状況を改善できるのが、
ファクタリングですよ。

貸金業法で偽装ファクタリングが違法とされた事例

貸金業法では、ダメなファクタリングの事例には、何があるのですか?
スキームの裏をかいて生じた悪質な行為ですよ。
例えば、最近ニュースで話題となった給与ファクタリングや
ヤミ金は、偽装ファクタリングと、認定されています。
新型コロナの困窮を逆手に取って、悪徳業者が、
逮捕されるケースが増えているのです。

給与ファクタリング
偽装ファクタリングとして、有名な給与ファクタリングは、裁判所が、明確な貸金業法違反という判例が出ています。
給与ファクタリングでは、貰う予定の給料を債権として、売買することが、契約として交わされ、厳しい取り立てが、行われたことから摘発が進んだという背景があります。
そのため、給与ファクタリング自体、「貸金業登録」が、必要なサービスと再認識され、登録のない業者は、偽装ファクタリングの違法業者として、運営していたという事例です。
以前から弁護士や金融庁が、違法性を指摘しており、2021年現在では、給与ファクタリングの業者は、わずかしか残っていません。
それは、利息に、厳しい貸金業法の登録を必要とするためです。
ヤミ金
ヤミ金は、消費者金融や街金などを中心に、偽装ファクタリングを行う業者全般のことを指します。
一般には、反社会的勢力が、後ろで悪事を働いている世間の印象がある闇金ですが、実態は、貸金業法から外れた業者は、すべてヤミ金として、認定されます。

ファクタリングが、ヤミ金であるとしたことを公表しています。
売掛債権の額面に関係なく、貸付金額が、決まる場合や期限を延ばして、
延滞金を徴収する場合なども、ヤミ金という扱いですよ。

ファクタリングと貸金業に関するよくある質問
ファクタリングは貸金業法に抵触しないのが優良の証
これまで、ファクタリングと、貸金業を比較して、その違いや貸金業法の位置づけ、偽装ファクタリングが、闇金扱いされる理由などについて解説しました。
正式な3社間ファクタリングでは、闇金や詐欺にさえ気をつければ、資金の調達や財務諸表のバランスを保てる優れた方法です。
偽装ファクタリングのように、貸金業法等の法律に、違反していない事業者を選んで、リスクを最小限に利用しましょう。