会社の資金調達を行うときはファクタリングを利用することができます。
ファクタリングは売掛債権を買取りしてもらうことで、売掛金が入る期日よりも先にお金を入金してもらうことができます。
ファクタリングを利用するなら
- 銀行
- 金融機関
と違い、お金を返済しなくていいなど、リスクが少ないように思えますが、ファクタリングも利用する際はリスクがあるので、その点をしっかり考慮しておく必要があります。
どのようなリスクがあるのか紹介していきます。

ファクタリングをする際に知っておきたいリスクとは
ファクタリングをするときに最低限知っておきたいリスクが存在します。
リスクをしっかり知っておくことで、ファクタリングの大きな問題を回避することができます。
ファクタリングで注意しておきたいリスクには以下のような点です。

2社間の場合は手数料が高く設定されている
ファクタリングを利用するときは
- 2社間取引
- 3社間取引
がありますが、2社間取引を行うなら手数料が多く取られるリスクがあります。
3社間取引の場合は
- ファクタリング会社
- 利用企業
- 売掛先
と3つで取引を行うため、安全性が保証されやすく、出資法にもかかってくるため手数料は15%以内に収める必要があります。
しかし、2社間取引の場合は
- ファクタリング会社
- 利用企業
のみなので、手数料は合意のもとに行われます。
2社間の場合は取引先企業に売掛債権を譲渡しますが、ファクタリング会社が直接売掛先から債権を回収できるのではなく、取引してきた企業から再度売掛金をもらう必要があるので、ファクタリング会社の方がリスクが高くなります。
もし、売掛債権を取引先企業から持ち逃げされればファクタリング側は資金が回収できなくなるため、手数料は10〜20%ほどと高い設定にしているところが多いです。
金額によって手数料は変化するため、2社間取引でファクタリングをするときは手数料の高いリスクに注意しておきましょう。

債権譲渡登記の手続き費用などを請求される
ファクタリングで取引をするときは、債権譲渡登記の手続きを行わなくてはならないこともあります。
債権譲渡登記の手続きが必要な理由
債権譲渡登記の手続きは主に2社間取引で行われますが、これは売掛金の権利が取引先のファクタリング会社にあることを法的に証明するための手続きです。
債権譲渡手続きがあることでファクタリング会社は売掛債権を買取ることができることを法的な立場で証明できるので、リスクを軽減させる意味でも2社間の場合は必ず要求されます。
債権譲渡登記の手続きは費用負担がかかり、それはファクタリングの手数料の内訳の1つとして組み込まれていることが多いです。
そのため、2社間取引では手数料として何が含まれているのか確認しておくことも大事です。
ファクタリング会社は、いろいろな経費を手数料として利用企業に請求することがありますが、経費を手数料にたくさん盛り込まれると得られる金額が減少するリスクがあります。
ファクタリングの経費は何に利用されているのか契約する前に確認して、こちら側が負担すべきものなのか判断するリスクがあると言えます。
売掛先との信頼関係が損なわれることも
ファクタリングで2社間取引を行うなら、取引先企業には知られずに資金調達することができますが、3社間取引では取引企業を巻き込んで資金調達を行うため信頼性についてリスクを負います。
3社間取引なら手数料を安く済ませることが可能なので、資金調達として利用しやすいメリットがあります。
ただ、ファクタリングしていることが取引先に発覚すると、
- 経営状態に不信感を持たれること
- ファクタリングをして自社が資金調達に利用されること
にもなるので良い見方をされることはありません。
ファクタリングをしたことで取引先から契約を解除されるリスクもあるため、3社間で資金調達をする際は熟考することが大事です。
もし、取引先との関係が悪くなるようなリスクがあるなら、2社間取引を利用した方がリスク軽減することができます。

金額によっては入金に時間がかかることもある
ファクタリングは基本的に契約を終えれば
- 即日
- 翌日
いずれかに自分の口座に買取った金額を入金してくれます。
素早く入金をしてくれるのがファクタリングのメリットとなりますが、金額の大きさによっては入金に時間がかかるリスクは覚えておくべきです。
ファクタリング会社の規模や資金力にもよりますが、数千万円や1億円を超えるような売掛金を買取りしてもらうなら入金は即日とならず3〜5日ほど時間がかかることもあります。
即日を狙っていたなら希望通りにいかないことになるため、契約する前に売掛金の買取入金にどれくらいの時間がかかるのか聞いておくようにしましょう。
また、3社間取引の場合は2社間取引と違い
- 支払い企業の同意
- 必要書類への署名
などが必要になるので、最短即日で入金してもらうことは難しいリスクも生じます。
早急に資金調達をしたい場合
取引先の企業にファクタリングすることを事前に連絡して、契約がスムーズにいくように準備しておくことでリスクの軽減を行えます。
取引先が承諾しかねるようであれば、別の売掛先や2社間取引を考えましょう。

償還請求権のあるファクタリングは請求される
ファクタリングを利用するときに償還請求権を求められることがあります。
償還請求権がある場合
- 売掛債権の不渡り
- 倒産
に対するリスクを背負うことになります。
もし、自分の買取りしてもらった売掛先が
- 不渡り
- 倒産
などを起こして売掛債権を回収できなくなれば、利用した企業がファクタリング会社から請求を受けることになります。
ファクタリングの場合は売掛債権を買取してもらっているので、「返済義務は負わない」と思うかもしれませんが、償還請求権があるファクタリングは法的にも支払いを受けるリスクが生じます。
償還請求権が生じて売掛債権の返金を求められたなら、金額によっては返済が難しくなり倒産の危機に陥ることもあります。
最悪な事態になるリスクを回避するためにも償還請求権が契約に盛り込まれているのかはしっかり確認しておきましょう。
ファクタリングのリスクを回避するには
ファクタリングを利用するときはノーリスクというわけではないので、しっかり確認しておく必要があります。
もし、ファクタリングのリスクを少しでも回避したいならどんな点に注意しておくべきなのか知っておく必要があるでしょう。
ファクタリングのリスクについて紹介していきましょう。

事前に交渉をして手数料を抑える
ファクタリングを利用するときに手数料が高くなるリスクがあります。
そのリスクを回避するためにはファクタリング会社と契約する前にしっかり交渉することが大事です。
手数料はファクタリング会社が提示してきますが、その際に手数料が高いなら自社の信頼性をアピールして交渉すると手数料を下げられる期待もあります。
信頼性をアピールする際の例
売掛先の会社規模が小さくても
- 10年以上の取引歴があること
- 毎回遅延なく売掛金を支払ってくれている取引先を選ぶ
ならファクタリング会社も信頼性を評価してくれやすいです。
信頼性が高い売掛債権であるなら、ファクタリング会社もリスクを軽減できるため手数料を下げてくれることもあります。
ファクタリング会社の手数料が高いときは、なぜ手数料が高いのか理由を聞いてみて、その後に解決や対策を考えてみることがおすすめです。

取引先が気になるなら2社間取引を行う
ファクタリングで手数料のリスクを下げたいなら3社間取引を行うことができますが、この取引の場合は売掛先にファクタリングしたことがバレてしまいます。
もし、売掛先にファクタリングしたことが発覚しないようにしたいなら2社間取引を選択するのがおすすめです。
2社間取引であれば売掛債権を買取りしてもらった後に売掛先から自社に入金してもらい、その後ファクタリング会社に返金する方法となります。
取引先からは通常通りに売掛金を自社に入金するので、ファクタリングを利用したことは発覚しません。
ファクタリングをしたことが取引先に伝われば自社の倒産が危ぶまれてしまうため、信頼を失って貴重な取引先が無くなる可能性もあります。
そのようなリスクを回避したいなら2社間取引を選択するのがいいでしょう。

償還請求権のないファクタリングを選んで取引する
ファクタリングを利用するときに償還請求権の有無を確認しておき、無しのファクタリングを選ぶのがおすすめです。
償還請求権があると売掛先が売掛金を支払えないときに、自社に責任が及ぶためリスクが高くなります。
償還請求権が発生するのは主に3社間取引です。
3社間取引の場合はファクタリングは実質出資のような形になるため償還請求権を利用した企業側に与えることができます。
しかし、2社間取引の場合は買取り方式となるため、償還請求権は発生しません。
そのため、償還請求権を無くしたいなら2社間取引を選択するのがいいでしょう。
2社間取引なら売掛金請求ができない
仮に売掛先が倒産しても2社間取引であればファクタリング会社は取引した企業に売掛金の請求を行うことができないので、利用側はノーリスクとなります。
後々の支払い義務のリスクを負いたくないなら2社間取引を選択するようにしてください。

ファクタリングでは悪徳業者に引っかかるリスクも考える
ファクタリング会社の中には悪質にお金を騙し取ろうとしてくることもあります。
そのため、悪徳業者の特徴も知ってリスクを回避できるようにしておくことも大事です。
悪徳業者は弁護士法に違反している可能性があります。
どのような特徴があるのか紹介しましょう。

契約書や見積り書などの書類作成を行わない
ファクタリングを利用するときは基本的にたくさんの書類を準備する必要があります。
いろいろな契約を交わさなければ保証なども受けられないので、契約に必要な書類の要求をファクタリング会社から行ってきます。
しかし、悪質なファクタリング会社の場合は必要無し書類の準備をせずに、要求してくることもありません。
悪質なファクタリング会社が契約書を用意しない背景
いろいろな契約書を用意するとその分悪徳業者は利用企業から高額な請求をすることができなくなるためです。
また、契約書があると証拠として残るリスクがファクタリング会社側にあるため、契約書の数を極端に少なくします。
しかし、必要書類が少なく基本的な契約を交わさないなら、利用する企業側は大きなリスクを背負うことになります。
そのため、ファクタリングを利用するときは契約前に必要な契約書を交わすように交渉しておきましょう。
もし、ファクタリング会社側が契約書を準備しないなら弁護士法に違反していることになるので、その点を踏まえてリスクを回避するようにしましょう。

入金を振込みではなく手渡しで行うファクタリング会社
ファクタリングを利用するときは基本的に銀行振込みで行い、手渡しの現金払いで済ませることはありません。
ファクタリングが銀行振込みを行うのはいくらの値で売掛債権が買取られたのかを明確に知る証拠となります。
ファクタリング会社としても後々のトラブル防止につながるため、リスク軽減のため振込みを行うのが基本ですが、悪質な業者であれば証拠を残さないため手渡しで行うことが多いです。
手渡しであれば証拠が残らないので悪質なファクタリングをしで弁護士法に違反していたとしても、利用する企業は証拠不十分として裁判に持っていくことを躊躇います。
また、現金手渡しであれば利用する企業としても自分の目で確認して直ぐに現金を得られるため、銀行振込みではなく手渡しを選ぶこともあります。
ただ、手渡しだと後で
- 手数料が高くて搾り取られた場合
- 一括払いにされていた
などトラブルに発展するリスクもあるため、急いで資金調達をしたくても銀行振込みをしてもらうようにしましょう。
手数料が法外過ぎる
悪質なファクタリング会社であれば、手数料を高く取ろうとして
- 相場
- 出資法
よりも高い設定にしていることがあります。
ファクタリングは手数料の設定としては
- 2社間取引で20%ほど
- 3社間取引では最大15%ほど
になっています。
しかし、悪質なファクタリング会社は相場以上の金額である30〜40%ほどの手数料を普通に取ろうとするため、かなり多くのお金を取られるリスクがあります。
利用企業の気持ちを逆手にとって手数料を上げることも
悪質なファクタリング会社は「即日できるけど手数料が多く必要になる」など利用企業にもメリットがあるような言い方をして手数料を釣り上げることもあります。
しかし、手数料が高いとその分取り分は少なくなるため、ファクタリングを利用した会社は結果的に損をしてしまうことになります。
3社間取引のように出資法で定めている15%以上の手数料を要求してくるなら、弁護士法に引っかかり違法になるケースもあります。
悪質なファクタリング会社の手数料が相場以上になっていないのか確認するようにしましょう。

取り立てが悪質
悪徳業者はヤミ金とほぼイコールです。
悪徳業者=ヤミ金はほぼ成り立つ
ファクタリングの悪徳業者を経営する人が以前にヤミ金や違法な事業をしていたというケースが意外なほどあることからも明らかです。
その影響で、悪徳業者の取り立ては厳しく、悪質な事例も報告されています。
例えば、
- 「電話先で激しい剣幕で怒鳴る」
- 「なぜ返せないのかを必要に聞く」
- 「取引先に伝えると脅迫する」
などのケースです。
それでも費用が返されないときは嫌がらせで会社に登録された電話番号や住所に
- 出前
- いたずら電話
などがかかるように仕向けます。
また、家族などを保証人として設定させるという悪徳業者もいます。
保証人を家族に設定する理由は、下記の通りです。
保証人を家族に設定する理由
- 費用が回収されない場合に家族に連絡してファクタリング利用したことを暴露すること
- 本当の利用者に対して払わないことへの牽制に使うこと
事実、悪徳業者からファクタリングを利用した人は、家族に知られないために必死になって返します。

分割で高額な利息が発生している
ファクタリングが悪質な業者であるなら、手数料を少なくしてその分を利息による支払いを要求してくることがあります。
ファクタリング会社によっては売掛債権が入ってきたときに一括払いではなく分割で支払いをすることを提案してくることがあります。
会社の経営状況によっては分割払いの方が良いこともあるかもしれませんが、分割払いの際は利息が発生して返済がなかなか終わらないこともあります。
25万円支払うたびに2万円の手数料が発生して4回だと8万円も余分にお金を支払わなければいけません。
これは仮なので、悪質なファクタリング会社であればさらに大きな利息を要求して、結局支払い負担が大きくなってしまうこともあります。
支払い負担が大きくなってしまうと、ファクタリングを利用して資金調達しても長期的に見て大損してしまうこともあるため、分割払いでの利息が発生するようなファクタリング会社は注意しておく必要があります。

ファクタリングでリスクを減らしたいなら弁護士に依頼するのが良い
ファクタリングを利用するときはリスクも伴うため、
- しっかり見極めること
- 確認すること
が大事です。
しかし、悪質な業者もいるリスクもあり、自分の力だけで判断するのは難しいこともあるでしょう。
そのため、弁護士に依頼をしてファクタリングのリスクを軽減できるようにするのがおすすめです。
ファクタリングの際に弁護士を依頼するなら以下のようなリスクを回避できます。

契約に不審な点がないのか
ファクタリングで資金調達をするときは契約書にサインすることも求められますが、逐一書類や契約を確認しても、どのような内容が書かれているのか分からない人もいるでしょう。
しかし、分からずにサインしてしまうと後で後悔してしまうリスクもあるため、契約の際には弁護士も一緒に同席してもらうのも良い方法です。
弁護士も一緒であれば
- 契約がしっかり法律に沿っているのか確認してもらえる
- 自分の不利なことにもならない
ため、安心することができるでしょう。
ファクタリングからの悪質な取り立てリスクも回避
悪質なファクタリング会社であれば、資金回収のために取り立ても度が過ぎていることもあります。
しかし、度が過ぎた取り立ては会社にも迷惑となり大きなリスクとなります。
その際に弁護士に依頼するなら、取り立ては全て弁護士が代理として受けてくれるため、会社に大きな影響が及ぶリスクはありません。
会社としても取り立てによる悪質な支払いを止められるためリスクが格段に下がります。

ファクタリングのリスクに関するよくある質問
ファクタリングのリスクを回避するために弁護士へ相談しておこう
ファクタリングはリスクもありますが、弁護士に依頼しておくならリスクを軽減して契約できしっかり資金調達を行うことができます。
- ファクタリングの契約
- 知識
に自信がないならまずは弁護士に相談して対策やポイントを教えてもらうようにしましょう。