ファクタリングと聞いて怪しいイメージを浮かべる人は多いでしょう。
最近は給与ファクタリングの
- 悪徳業者
- 詐欺
事案などが続き、ファクタリングに対する警戒が強まっている経営者は増えています。
しかし、ファクタリングが怪しい・違法な取引などの間違ったイメージは、ファクタリングが持つ本来の性質を歪めて、小さな会社がファクタリングを装った詐欺に騙されてしまうきっかけを作り出します。
そこで、今回は怪しいイメージや違法な取引と誤解されやすいファクタリングについて、その原因や法的根拠、ファクタリングのイメージをさらに悪くした給与ファクタリングについて紹介します。



このページでわかる事
ファクタリングが怪しいというイメージは間違い?
ファクタリングは、過去の悪質な事件をテレビ・ニュースなどで見聞きすることによって怪しいというマイナスイメージを持たれてしまった数少ない資金調達サービスです。
本来は
- 資金繰り
- キャッシュフロー改善
のために国や金融事業者から積極的利用が推奨されているものです。



ファクタリングが怪しい理由とは
ファクタリングが怪しい印象を持たれてしまう原因は、
- 利用者の認識・理解不足
- 悪徳業者により生じたファクタリングに対するネガティブなステレオタイプが形成されてしまうこと
です。
ファクタリングそのもののイメージが低下する背景
- 零細・中小企業の経営者がファクタリング業者を利用して詐欺にあう
- 悪質な取り立てにあう
などして、ファクタリングそのものに対するイメージが低下します。
特に初めて利用した方がいきなり
- 悪徳業者
- 詐欺
にひっかかることで、業界全体がそのような悪いイメージを与えます。
- ファクタリングの口コミ
- 評判
で具体性の伴わない怪しいイメージはこうして形成されるのです。
特に、これまで利用したことがなく、検討の段階にある経営者や経理担当者は、利用して成功した人より、悪質行為に引っかかったケースを重視してファクタリングを判断する傾向にあり、悪徳業者が全体の一部であったとしてもファクタリングへの不信感を拭いきれなくするのです。
従来のファクタリングが持つ正しい意味を理解していれば、このような間違った認識は生じません。
2社間ファクタリングの台頭
ファクタリングが怪しいのは、
- ファクタリングへの正しい理解が欠如している
- 悪徳業者がファクタリングに対する利用者の評判を落としている
ことが一因です。
しかし、悪徳業者が入り込むようになった取引に「2社間ファクタリング」があり、近年になって数が増えたことが挙げられます。
2社間ファクタリングとは
2社間ファクタリングは、本来のファクタリングとされた3社間ファクタリングとは違います。
それが債権を回収する業務委託契約を結ぶことです。
2社間ファクタリングでは、売掛債権により後日に入金する会社A(一般に「売掛先」と呼ばれる)にファクタリング利用の事実を知らせることなく、債権を有する会社Bが業者に売掛金を売却するのです。
つまり、
- 債権売却の会社B
- ファクタリング業者
の2社間取引です。
一方、3社間はここに最初の債権に応じて支払いをする会社(売掛先)を入れた計3社で取引するのです。
2社間ファクタリングの場合、ファクタリング業者は直接、会社A(売掛先)に支払いを請求できないため、「債権回収業務委託契約」というものを締結して、会社Bに会社A(売掛先)から債権を回収する契約を別途結びます。
しかし、ファクタリング業者にとって債務の回収は、会社Bに依存するため、3社間ファクタリングより未回収のリスクは高まります。
そのため、手数料を高く設定する傾向にあるのです。
手数料の問題
前述の通り、2社間ファクタリングは、未回収リスクの増加により手数料が割高になりやすいという特徴が知られています。
ファクタリングのイメージが悪化した理由の中には、こうした法外な手数料といわれても仕方のない高い手数料率が不信感を集めてしまったのです。
2社間ファクタリングの手数料率はおよそ2~4割にもなり、酷いケースでは5割を超える悪徳業者を利用してしまうケースも出ています。
単純に「手数料が高いのは、運転資金を得たい弱い立場の経営者を狙って行っている」という印象を持たれることで、優良なファクタリング業者に対しても一律に「手数料の高い悪質サービス」と誤解されるのです。

詐欺や悪徳業者の存在
ファクタリングには、
- 詐欺行為を働く利用者
- 悪質な運営をする業者
が存在します。
それらが、資金繰りを改善するというポジティブなイメージを打ち消すのです。
経営の健全化を行うのに積極的に利用推進されているはずが、いつの間にか最終手段として経営者が苦し紛れに手を出す行為にすり替わってしまうのです。
ファクタリングを利用するには審査が必要で、それを通過しやすいのは悪徳業者です。
ようするに、用立てに窮し、ぎりぎりのタイミングでファクタリングを利用すると悪徳業者にあたってしまいやすくなるのです。
あとは、悪循環の繰り返しで、悪徳業者の利用がさらにファクタリングのイメージをネガティブ・ステレオタイプを強化し、悪徳業者が付け込む構図です。
また、利用する会社が詐欺行為を働き、別の会社に迷惑をかけることで印象悪化が起こることもあります。
別の会社に迷惑をかけることで印象が悪化する例
具体的には、詐欺によりファクタリング業者から詐欺会社が資金を奪い、別のファクタリング利用した会社に資金が渡らずに倒産、業者と利用者の両方が悪質な行為と被害にあうケースです。
ここまで大きな事件は起きなくとも、小さなトラブルは積み重なることで、ファクタリングの本来あるイメージを歪めてしまうのです。


悪徳業者を見分けるコツ


悪徳業者の特徴
俗にいう「怪しいファクタリング」とは、悪質な行為で不本意なファクタリングを提供する悪徳業者のことです。
悪徳業者にはいくつかの特徴があります。
まず、「手数料の問題」です。
ファクタリングに失敗する会社や経営者は、手数料の負担で悪徳業者に付け込まれます。
次に、悪徳業者は
- 会社の所在地
- 実態
が曖昧で、信頼に足る会社を登記していません。
怪しいファクタリングの例
例えば、株式会社が基本となるファクタリング事業において、
- 合同会社を設定している
- 資本金がわずか
などが一例です。
そして、取り立てがヤミ金のようなことをしていることも少なくありません。
手数料を追加要求
悪徳業者は、さまざまな理由をつけて後で追加要求し、実際の振込みは半分以下になるという手口が使われます。
特に2社間ファクタリングは回収リスクが有るため、
- 保証金
- 積立費用
などと偽って手数料を徴収しようとするのです。
加えて、遅れを伸ばす貸金でいうところの「ジャンプ」行為を別途費用を払って行うなどする業者はヤミ金と同様の違法な悪徳業者です。



審査が甘い
ファクタリングは、負債を負うリスクがあるノンリコース契約をするのが一般的であり、審査は厳し目に設定されています。
実際、多くの中小や零細企業を営む経営者は、何かしらの理由で審査に落ちるという経験をします。
しかし、悪徳業者は、審査は実質的に審査がないも同然で通り、数を増やして手数料から利益を回収するヤミ金の構造をしています。
通常、優良業者やファイナンス関連業者の2社間ファクタリングでは審査において、信用情報を確認するために厳格な
- 日本信用情報機構(JICC)の信用情報機関
- 帝国データバンクの情報
を取得して信用度をチェックします。
それを一切行わず、利益を得ているのが悪徳業者です。
そのため、
- 傾きかけた会社
- どう考えても信用が十分でない会社
でも審査に通ってしまうのです。
これは逆説的いえば、信用情報を確認せずとも十分に負債を回収できる自信があり、
- 回収できなくとも利益は数で補う
- 信用情報に頼る必要がない
ことを意味します。
審査の厳しいファクタリング業者が多い中で甘い審査をすれば審査落ちした人たちを顧客として集めることができるため十分な数を集められます。
そのような理論が悪徳業者にはあり、審査の甘さがそのまま悪徳業者を利用する危険度やリスクに直結しているのです。
取り立てが悪質
悪徳業者はヤミ金とほぼイコールです。
悪徳業者=ヤミ金はほぼ成り立つ
ファクタリングの悪徳業者を経営する人が以前にヤミ金や違法な事業をしていたというケースが意外なほどあることからも明らかです。
その影響で、悪徳業者の取り立ては厳しく、悪質な事例も報告されています。
例えば、
- 「電話先で激しい剣幕で怒鳴る」
- 「なぜ返せないのかを必要に聞く」
- 「取引先に伝えると脅迫する」
などのケースです。
それでも費用が返されないときは嫌がらせで会社に登録された電話番号や住所に
- 出前
- いたずら電話
などがかかるように仕向けます。
また、家族などを保証人として設定させるという悪徳業者もいます。
保証人を家族に設定する理由は、下記の通りです。
保証人を家族に設定する理由
- 費用が回収されない場合に家族に連絡してファクタリング利用したことを暴露すること
- 本当の利用者に対して払わないことへの牽制に使うこと
事実、悪徳業者からファクタリングを利用した人は、家族に知られないために必死になって返します。

ファクタリング業者が違法行為で騙されるケース


架空請求
ファクタリングが怪しいとされるもう1つの理由に詐欺でファクタリング業者が騙されるケースが挙げられます。
その一つが架空請求です。
架空請求とは
架空請求では、利用者(詐欺師)が架空の請求書や売掛債権を持ち込んで資金を得ます。
ファクタリング業者は本来存在しないはずの売掛金を掴まされ、その分の資金を回収できずに失います。
通常は審査などでこれを防ぎますが、難しいケースもあるなどして騙されてしまうのです。
二重譲渡
二重譲渡は、架空請求よりも起こりやすい事例です。
利用者が複数の会社に売掛債権を譲渡して、複数のファクタリング業者から資金を得ます。
二重譲渡が詐欺として扱われる理由
2社目以降のファクタリング業者は代金を支払って未回収分を売掛金の債権回収から得ようとしても1社目がすでに回収しているため、資金だけ失うという構図ができ上がっているからです。

短期の計画倒産
会社は倒産することによってその債務をすべて放棄できるわけではなく、場合によっては民事再生などさまざまな手段で負債を返します。
しかし、実際のところは負債を回収しきれず、ファクタリング業者がそれを負担しています。
これを逆手に取り、計画的に会社を倒産させて支払いを逃れる詐欺事案のケースが起こりえるのです。
大掛かりな特殊詐欺になってくると劇場型の芝居をうち、大金をファクタリング業者から奪うこともあります。
以上の詐欺ケースによる、ファクタリングが怪しいイメージを持たれる事が増えているのです。
給与ファクタリングは違法ではない法的根拠が薄い


給与ファクタリングはファクタリングではない
ファクタリングの印象が近年さらに悪化した原因として、給与ファクタリングの悪徳業者が幅を利かせたことです。
- 悪質な行為がはびこったこと
- 現在では貸金業法違反で逮捕者が続出していること
も影響しています。
給与ファクタリングは
- もともとグレーゾーンな運営だったこと
- 無理な「給与=債権」という解釈が行われていたこと
も重なり、事業としてはヤミ金を残して多くの業者が散ってしまったのです。
問題は、給与ファクタリングがファクタリングの名前を冠していることです。
メディアを通して近頃もたらされた給与ファクタリングに対するイメージは最悪で、ファクタリングそのものに対する印象まで悪化しています。

給与ファクタリングは違法判決が出ている
給与ファクタリングにはすでに裁判所から貸金業として認定しており、給与ファクタリングはただのヤミ金(違法な貸金業者)と扱われます。
民事でも利用額を含めて返さなくても良いという判断が下されています。
利用額を含めて返さなくても良い理由
ヤミ金に借りたお金は返さなくても良い決まりになっているためです。
今後、利用後の支払いを拒否するケースが増えるでしょう。
給与ファクタリングの手口
給与ファクタリングでは、会社を債権を回収する相手として捉え、給与が債権そのものにして
- 会社員
- 役員
と契約します。
給与は債権と同じ扱いで利用者から給与ファクタリング業者に支払いがされなかった場合は、会社に連絡をして回収を迫るという手口を使います。
そのため、業者は利用者に対して契約時に会社情報に関するいくつかを開示するように要求します。
例えば、
- 給与明細(口座履歴)
- 社員証
- 会社の電話番号
などです。
個人の携帯番号に連絡がつかない時は、会社に連絡して督促を実行します。


ファクタリングの怪しいイメージを拭い去ろう
これまでファクタリングの怪しいイメージについてその原因や関連する給与ファクタリングの事例などを紹介しました。
どれもファクタリングのイメージや価値を損なうものが多く、
- 本来のファクタリングとはかけ離れた取引
- 利用者トラブル
が原因です。
資金繰りの厳しい会社にとってファクタリングはキャッシュフローを改善する手段として機能するはずが、世間の悪いイメージにより利用が積極的に行われず、最終的に悪徳業者に引っかかるような状況を生み出してしまいます。
それを防ぐためにはファクタリングの怪しいイメージを拭い去り、優良業者を利用するために、悪徳業者を見極める目を持つことが必要です。
- 資金調達に不安がある会社
- 売掛金の期日まで待てない経営者
はファクタリングの利用を検討しましょう。