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債務整理は借金で苦しい人にとってはクモの糸!どの債務整理をするかでも大きく違う
債務整理とは、多額の借金で日常生活に大きな支障をきたす場合、法律に則って借金の減額、支払いの猶予、利息の減免をすることで、生活を立て直すための手続きのことです。
借金が膨らみ、返済が遅れてしまうと、毎日返済督促の電話に怯えながら、金策に走り、健全な生活が送れなくなってしまいます。
また、返済のお金を稼ぐために違法行為に走ってしまうケースも考えられます。
このような多重債務が引き起こす異常事態からの救済策が、債務整理なのです。
現金化を考えている人は、カードローン等を利用している人も多く、中には既に新たに借り入れができなくなってしまっている人もいるかもしれません。
場合によっては、債務整理を検討している人もいるでしょう。
逆に現金化をしてしまっているから、債務整理ができないと悩んでいる人もいるかもしれません。
これから現金化と債務整理について解説していきますので、しっかりと正しく理解していきましょう!


債務整理といってもいろいろあります!しっかり特徴をつかんでおきましょう!
債務整理には以下3種類があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
任意整理とは、弁護士や司法書士が代理人となって利息の免除や毎月の返済額を減らす交渉を行っていく手続きのことで、一番多い債務整理の方法です。
日常生活に支障のない範囲での返済額になるように計画を立て、弁護士や司法書士が債権者である金融機関へ交渉してくれます。
一方で、任意整理を行ったとしても日常生活に支障のない返済額には収まりそうにない場合は、個人再生を行うことになります。
個人再生では、借金返済が困難であることを裁判所に認めてもらうことで、利息及び元本の一部が免除されます。
住宅等の資産が処分対象とならないのも特徴の一つです。
自己破産は、支払いができないことを裁判所に認めてもらうことで、全ての債務を免除してもらう手続きのことです。
個人再生と違い資産は処分対象となります。

債務整理をすることで、借金苦から脱出!再出発できる有難い制度ではあるけれど
債務整理をすることで、借金の返済督促に怯える毎日から抜け出せ、健全な生活に戻れるようになります。
しかし、自己破産以外は借金がなくなるわけではありません。
一部返済は続きますが、健全な生活が送れる範囲内ですし、それまでと比べるとかなり減額になっています。
言わば、借金や利息を減免することで、再スタートできる機会が与えられる制度、それが債務整理なのです。
ここまで聞くと、債務整理がすごいメリットの制度のように聞こえますが、当然デメリットはあります。
債務整理をすると個人信用情報機関に事故情報として登録!新たな借り入れができない!
債務整理をすると、個人信用情報機関、いわゆるブラックリストに事故情報が載ってしまいますので、新たな借金ができなくなってしまう可能性があります。
ブラックリストに事故情報が載る期間は、個人信用情報機関によって異なりますが、債務整理・個人再生の場合は5年、自己破産の場合は5~10年となっており、この期間はクレジットカード会社を含むどの金融機関からも借り入れができなくなってしまいます。
また、携帯電話の新規契約や割賦払いでの機種変更、アパートなどの賃貸物件の新規契約もできなくなる可能性があります。
これらは個人信用情報機関のデータを元に、契約の可否を決定する場合があるので、事故情報が載っている期間は契約ができない可能性が高くなります。

連帯保証人を付けた借金の債務整理は要注意!債務整理をすることで連帯保証人に請求が
連帯保証人を付けて借り入れしている場合、債務者本人が債務整理すると連帯保証人に一括返済請求が行きます。
つまり、債務整理をすることで、連帯保証人に迷惑をかけてしまうことになります。
もし、債務整理をする場合は、必ず事前に連帯保証人に相談するようにしましょう。
現金化をしてしまうと債務整理できないって本当?
現金化をすると債務整理できない、とよく言われますが、決してそんなことはありません。
現金化は、クレジットカード規約等で禁止しているものの、法令には違反していませんので、債務整理ができないということはありません。
しかし自己破産だけは、破産法という法律に現金化が抵触してしまうため、認められない場合がありますので注意が必要です。
任意整理とは?その特徴を徹底解説!
任意整理とは、金融機関ごとに借金を現在の利息制限法の上限金利に引き下げて計算し直した借金の利息を免除し、元本のみを3~7年かけて支払う債務整理の方法です。
弁護士、司法書士が債務者の代理人として各金融機関と交渉を行いますので、手数料が発生します。
任意整理をすることで、利息が免除されますし、返済の遅れによる遅延損害金等もなくなり、元本のみの返済となりますので、毎月の負担は大きく軽減されます。
また、債権者側である金融機関としても、利息収入はなくなるものの元本は返済されることから、貸し倒れリスク回避のメリットがあるため、比較的合意になりやすい債務整理の方法です。
しかし、弁護士、司法書士への手数料負担が大きいことがデメリットですので、数料の捻出が厳しいようであれば、市役所などで行われている法律無料相談や法テラスを活用すると良いでしょう。
また、弁護士や司法書士を通さずに任意整理をすることは可能ですが、債権者である金融機関が交渉に応じないケースが多いようです。
このような場合は、簡易裁判所を通して交渉する特定調停という方法を利用すると良いでしょう。
弁護士資格を持つ調停委員が仲介人となってくれますから、費用は非常に少なく済みます。

要注意!任意整理ができないケース!
もし任意整理前に延滞をしている借金があるのであれば、任意整理ができなくなってしまう可能性がありますから気を付けましょう。
延滞中の債務者に対して債権者である金融機関は、法的手段である強制執行をすることができます。
実際には延滞後に支払い督促を行い、それでも返済されない場合に強制執行となりますが、中には2カ月延滞で強制執行に踏み切り、給与を差し押さえる金融機関もあります。
強制執行を止めるには、特定調停や個人再生、自己破産の手続きをとらなければなりません。
つまり、強制執行されると任意整理ができなくなってしまいます。
また、そもそも任意整理に消極的な金融機関もあり、交渉失敗に終わることも十分にありえます。

現金化をした後で任意整理をする上での注意点は?
任意整理の場合、債権者である金融機関は利息収入がなくなるものの、元本は返済されますので、仮に現金化が金融機関にばれていても交渉してもらえることが多いようです。
ただし、依頼する弁護士、司法書士に現金化の事実を伝えないでいることは、交渉していく上で不利にしかなりませんから、必ず現金化の事実は伝えるようにしましょう。
現金化の有無に関わらず、任意整理後の返済が2回以上延滞すると和解契約破棄となり、一括返済を求められます。
1回目の延滞では、事前連絡をすることで許してもらえる可能性が高いようですが、計画通りに返済ができなくなること自体が問題です。
任意整理後には資金ショートを起こさない返済計画をしっかりと立て、計画に沿った返済を続けていくようにしましょう。

個人再生とは?その特徴を徹底解説!
個人再生とは、民事再生法を個人に適用したものであり、裁判所に借金返済が困難であることを申し立て、長くても5年程度で完済するような再建計画を立てることで借金を減額してもらう債務整理の方法です。
任意整理では利息は免除されますが、元本は利息制限法の上限金利で再計算した後、さらに減額されることは基本的にありません。
しかし、個人再生では利息の免除に加え、借金そのものが最大で5分の1にまで減額されるため、大幅な返済額軽減の効果が見込めます。
従って、任意整理を行ったとしても返済の目処が立ちそうにないほど債務額が大きい場合や保険外交員など仕事柄自己破産ができない場合、個人再生をすることが多いようです。
自己破産と違って、住宅や車などの資産は処分対象とならない点も個人再生のメリットと言えます。

個人再生は認められないことがあります。財産隠しは厳禁!
一方で、個人再生では所有財産が多いほど、弁済しなければならない金額が大きくなります。
債務額を少しでも減らすため故意に財産を他人名義に移すなどの財産隠しは、個人再生不認可となるだけでなく、詐欺再生罪として刑罰を受ける可能性もありますので、財産隠しは決してしないようにしましょう。
財産隠し以外でも、継続的な収入がない場合や、再建計画自体に無理があると裁判所が判断した場合などは個人再生が認められないことがあります。
また、個人再生では、約半年間着実に返済が続けられるかの履行テストが行われます。
履行テストでは返済計画の金額を裁判所が用意した口座に振り込みますが、途中で振り込みができなくなると不認可になる可能性が高くなります。

現金化をした後で個人再生をする上での注意点は?
個人再生の場合、借金の原因を問われることはありませんので、現金化が問題となることはありません。
ただ、任意整理の場合と同様で、個人再生の手続きは弁護士、司法書士に依頼することになりますので、現金化の事実は正直に伝えておくようにしましょう。
一方、個人再生後に返済ができなくなった場合、再生計画は取り消しとなり、個人再生前の状態に戻ります。
ただし、やむを得ない事情がある場合に限り返済計画を最大2年間延長することができます。
また既に4分の3を支払っている場合は、一定の条件をクリアすれば、残りの4分の1は免除され完済となります。

自己破産とは?その特徴を徹底解説!
自己破産とは、今抱えている借金全ての返済義務を免除する債務整理の方法です。
個人再生と違い、一定以上の資産は処分対象となりますので、自己破産は財産と負債を一旦精算する手続きとも取れます。
自己破産は継続して返済が困難であれば、誰でも手続きすることができます。
- 同時廃止
- 少額管財
- 管財事件
のいずれかになり、その後の流れが違います。
一定以上の資産がない場合は、「同時廃止」に該当します。
自己破産の申し立てと同時に裁判官と面接を行い、そこで自己破産に至った経緯や資産状況のヒアリングがあります。
ヒアリングに問題がなければ、無事「破産手続開始決定・同時廃止決定」が裁判所から出され、後日免責審尋と言われる面接を行います。
免責審尋は、裁判所が免責の可否を決定する面接であり、裁判所によっては行われないケースもあるようです。
免責審尋で問題なしと裁判所が判断すると免責許可となります。
一方、一定の資産がある場合の自己破産は、「少額管財」もしくは「管財事件」となり、破産手続開始決定後、破産管財人と面接をします。
その後、債権者に自己破産に至って経緯や所有資産処分による配当の見込みを報告する債権者集会が開かれ、所有資産を処分、債権者へ配当を支払います。
免責審尋はその後になるため、かなりの時間がかかります。
また、自己破産した場合のデメリットとして、自己破産の申し立てをしてから、免責許可されるまでの間、会計士や弁護士と言った士業、保険外交員など一定の職業にはつけません。

現金化すると自己破産ができなくなる!?
自己破産を申し立てしたとしても、必ず免責が下りるというわけではありません。
破産法252条1項に定められた項目に該当した場合は、免責不許可事由に該当することとなり、免責が下りません。
そして現金化は、その不許可事由に該当する行為にあてはまるため、現金化をしてしまうと、自己破産ができないということになります。
自己破産ができなかった場合、基本的には元の借金生活に戻ることになりますが、即時抗告で裁判所の決定に不服を申し立て、再審査することができます。

現金化しても自己破産できる方法「裁量免責」とは?
自己破産の免責不許可事由に該当すると、基本的に自己破産できませんが、不許可事由に該当しても裁判所の判断で免責を許可することができる「裁量免責」というものがあります。
裁量免責を受けるには、免責不許可事由の重大性が1つのポイントになります。
免責不許可事由の重大性とは、自己破産において免責不許可事由がどれだけの影響を及ぼしているか、ということで、現金化を例に挙げると、現金化した金額や頻度などが重要になってきます。
つまり、1度だけ現金化をした人が自己破産をする場合は、裁量免責が受けられる可能性は高く、逆に現金化が常習化している人が自己破産する場合は、裁量免責が受けられる可能性は低くなるでしょう。
併せて裁量免責では、債務者が免責不許可事由となった問題行為を今後も起こす可能性があるか、反省しているか、も重要であり、裁判所によっては反省文を提出させるところもあるようです。
現金化の場合も、二度と現金化はしないという姿勢で面接に臨むことが大事と言えます。

面接で現金化はまずバレないけれど、正直に話した方が良いでしょう
現金化の事実があると、免責不許可事由に該当することから自己破産できるハードルは高くなります。
現金化の事実は、実際は自己破産申し立ての際、提出する書類に現金化の有無の質問があるだけのようであり、クレジットカードの使用履歴などを別途資料提出する資料はありません。
つまり現金化の有無の質問で「ない」と答えてしまうと、そのまま現金化のことが発覚することなく、自己破産できる可能性はあります。
しかし、面接等でしっかりとボロが出さずに答えないと却って疑われることになりかねません。
最悪の場合、現金化の事実を隠していたことが発覚してしまい、自己破産できなくなくことも十分に考えられます。
虚偽の説明も免責不許可事由に当てはまります。
嘘をついてやり過ごすよりも、正直に現金化のことを話し、好印象を持ってもらうことで裁量免責を受けるようにしましょう。

結論現金化をしても債務整理はできる。大事なことは正直に現金化を話すこと
現金化は規約違反であり、その後ろめたさから隠せるものなら隠して債務整理をしたい、と考えるものです。
しかし、隠したまま債務整理をすることに何一つ良いことはありません。
依頼する弁護士、司法書士を始め、裁判所にも正直に話し、今後現金化をしないという姿勢を見せることがスムーズな債務整理には必要不可欠です。
そして、スムーズな債務整理をきっかけに借金に追われない生活を送るようにしていきましょう。