株を保有している人にとって、いざという時に現金化するために必要な日数を知っておくことは、リスク管理の一貫として必要なことです。
証券会社に口座を保有していて株を保有している人ならば、ホフリと呼ばれる制度により電子的に株の保管を行っています。
株の現金化に対する基本的なルールを知っておくことは、計画的な資金調達手段として重要です。
株の現金化は3つのパターンを知っておくと良い
株を現金化する必要があると考えられるのは、主に3つのパターンがあります。
何となく気分だけで株の売買を行っていると、いざという時に売り遅れが発生して大暴落に巻き込まれてしまうわけです。株式市場で取引される相場は、様々な値動きに影響を与える判断材料が常にあるので、様々な統計や情勢にアンテナを張っておかなければなりません。
では、実際によくある株を現金化する3パターンは以下の通りになります。
利益確定売りに伴う現金化
そろそろ株の値動きが天井を迎えると考えられた時には、暴落前に利益確定売りを行うための現金化があります。
いつまでも株価が上がると思い株を持ち続けていても、現金化する前に株価が下がり始めては思うような価格で現金化出来ません。
利益確定売りを行う現金化は、分散して売却する際に使われる手法です。
損切りに伴う現金化
株価が下落傾向にある時には、再度上昇に転じる前に損切りを行うことで損失を最小限に留めることが出来ます。
損切りをしっかり行うために株を売却して現金化することは、次の投資銘柄を早く見つけるために必要な措置です。
相場悪化の予兆による現金化
株式市場は平日ならば毎日取引が行われていますが、別名恐怖指数とも呼ばれる日経平均VIを参考にして現金化を行うことが珍しくありません。
今は直接株価に影響が出ていなくても、VIの数値次第では値動きが一気に触れることがあるわけです。
リスク管理を行うために現金化をすることは、株取引においてよくあることです。
株の現金化はなぜ日数が掛かる
株を現金化しようとした時に、なぜ即日現金化出来ないのか不思議に思う人が少なくありません。
株は株式市場を通じて自由に単位株を基準として売買出来ますが、実は売買した結果がリアルタイムで株の譲渡結果と結びつくとは限らないことを知っておく必要があります。
約定日と受渡日の違いが現金化の日数に影響している
つまり、株を売却したと本人が思っていても、あくまでも売却契約が成立しただけであって実際に売却結果が確定するのは、受け渡しが行われてからというわけです。
株は現金とは異なり互いに売買契約を結んでから実際に執行するという流れを踏むため、証券会社は手数料と時間を要するわけです。
具体的な流れとしては、以下の2つのステップが必要となります。
約定日に株を売却する契約が成立する
証券会社に売り注文を出して、証券取引市場にて成約をしたら約定日が当日となります。
日計り取引を行っている場合には、証券取引市場が閉まるまでは取引が確定しないので、1日で何度も売買注文が可能です。
最終的に売り注文が確定した時点で株の売却契約が成立したことになります。
証券会社に対して売り注文を出して確定したからといって、受渡日の前までは相手方次第では現金化出来ない可能性が残されているわけです。
実際の株の受け渡しは受渡日に行われる
実際の株の受け渡しは、受渡日と呼ばれる約定日の3営業日~4営業日後の日程で処理されます。
近年は大半が証券保管振替機構のホフリにより行われていますが、実際にはホフリ制度対象外の保管振替非同意銘柄も存在しているわけです。
約定日に全ての株譲渡が完了すると、日数にズレが発生してしまうために金額が大きな取引や保管振替非同意銘柄のことを考えて、約定日の3営業日以降に現金化出来る形になっています。
国内株の現金化は3営業日または4営業日後
国内株の現金化は、約定日の翌日から数えて受渡日の設定が3営業日というパターンが一般的ですが、日計り取引を行っている場合に限り確定が遅いために4営業日後となります。
売り注文が確定した約定済み株は、受渡日になると現金化されて証券会社の口座へ入金されます。
ATMカードを発行している場合には、提携ATMにて引き出しが可能となりますが、個別に窓口対応としている場合やATMカード未発行の場合には別途銀行口座への出金手続きが必要です。
外国株は時差を考慮した現地約定日から3営業日または4営業日後
例外的にマネックス証券については、外国株取引に力を入れている兼ね合いから、2営業日後に対応出来る銘柄があるので現金化が早いほど良いと考えているなら証券会社選びが重要です。
また、外国株については受渡日に出金処理を行いたい場合には、前日までに出金処理希望を出しておく必要があるので、1日の差が土日を挟むことにより現金化するまで1週間要する場合が出てしまいます。
株は持っているだけで現金化しなくても税金が掛かるの?
株は持っているだけで税金が掛かると思われがちですが、実際に保有しているだけで税金が掛かる部分はごく一部に限られています。
なぜなら、株は株式会社が資金調達を行うために本来株式市場で売買を行っているわけですから、長期間株式を保有する安定株主がいなければ安定した経営が成り立ちません。
安定株主を除いた流動性が高い株式のみが証券取引市場にて売買されているわけです。
このため、課税対象にはキャピタルゲイン課税とインカムゲイン課税という2種類が存在しています。
両者の違いを知っていれば、現金化する時期をいつにしたら良いのかという判断が可能です。
キャピタルゲイン課税
その時に利益が出ている株を売却した年に限り課税されるので、含み益を持った状態で保有しているだけならば別途インカムゲインを得ていなければ税金が掛かりません。
株式の売買によって得られた損益を1年間通して計算した結果得られたプラスの収益が譲渡益です。キャピタルゲイン課税は、譲渡益に対して課税される制度だと考えておけば分かりやすいです。
税率は2037年12月31日まで20.315%の割合で課税されます。住民税が5%に対して、残り15.315%が所得税と復興特別所得税となっています。
インカムゲイン課税
株式には権利確定日が設定されているので、権利確定日時点で株を保有している株主に対して配当金が経営状況により入ります。
権利確定日時点で株を保有している人に対してのみ配当金が出るわけですから、あくまでも配当金という収入に対して課税しているわけです。
税率は2037年12月31日まで20.315%の割合で課税されます。キャピタルゲイン課税と同じく住民税が5%に対して、残り15.315%が所得税と復興特別所得税ですが、源泉徴収または申告分離課税による納税方法となります。
株を現金化すると掛かる税金は年間計算が基準となる
株を現金化することにより掛かる税金は、キャピタルゲイン課税となるので1年間で売買した株全てに対して合算した上で年間計算を行うことになります。
銘柄により譲渡益が出た場合だけでなく、株の売買では損切りに伴う損失計上を行うことが珍しくありません。
損失が大きい場合には、年末近くになった時に利益確定売りを行うことにより、売却益に伴う譲渡益課税を避けるまたは圧縮するといった方法が可能です。
また、インカムゲイン課税が発生する株を保有している場合には、証券会社に開設する口座の種類を工夫しておく必要があります。
では、証券会社に開設する口座として3種類ありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
一般口座
一般口座を利用しようと考える人は、年間取引報告書を自分で作成するという点を理解した上で証券会社に口座開設を行います。
年間取引報告書とは、証券会社ごとに開設した証券取引口座に対して、売却額と取得費を個別に記入する書類です。
自分で作成する場合には、開設済み証券取引口座の売買履歴を見ながらコツコツと地道に作成することなるので面倒な作業となります。
敢えて一般口座を選ぶ人の場合には、長期保有を前提としている給与所得者であって、年間に売買を数回しか行わずに譲渡益が常に20万円以下に収まる確定申告義務を免除されている人です。
確定申告が必要になった時に苦労するので、大半の人は特定口座を選びます。
特定口座(源泉徴収なし)
特定口座を証券会社へ作成すると、確定申告時の譲渡益計算を予め行った年間取引報告書を証券会社が自動的に作成して確定申告時期が近づくと送付してくれます。
確定申告により必要な税額を別途収めることになるので、比較的資金に余裕がある人であって、売却益が少ない傾向にある人に向いているわけです。
また、医療費控除を申請するために最初から確定申告を行う予定があるならば、源泉徴収なしとありのどちらにするか熟慮した上で、特定口座を選択すると良いです。
特定口座(源泉徴収あり)
源泉徴収ありの特定口座ならば、源泉徴収票を勤務先へ提出すれば年末調整を受けられるので、確定申告が必要ありません。
副業禁止規定がある勤務先であっても、株取引については資産運用という扱いで禁止対象外となっている所が多いので、なるべく手間を減らしたいなら源泉徴収ありの特定口座を選ぶと良いです。
また、譲渡益が多い場合には源泉徴収ありにしておかなければ、後から損失が出た時に資金面で苦労することになりかねません。
このため、確定申告を毎年行う予定であっても特別な事情がない限りは、源泉徴収ありの特定口座を証券会社各社に開設しておけば手間を省けます。
株の現金化は日数と税金を考慮して譲渡益が大きくなりすぎないようにする
株の現金化は、約定日と受渡日という考え方があるので即日現金化出来るわけではありません。
国内株ならば3営業日または4営業日程度、外国株ならば更に時差による日付のズレも考慮に入れる必要があります。
株の譲渡益は元旦から大晦日までを1年として損得勘定を行うので、特定口座を証券会社に作成しておけば年間取引報告書を自分で作る手間がありません。
株に掛かる税金を把握した上で、売却タイミングを図れば資金面で安定することになります。