近畿エリアで使われているPiTaPaは、他の交通系ICカードとは異なる点として、ポストペイ方式を採用していることが広く知られています。
ポストペイ方式ならば、PiTaPaの現金化はスムーズに出来ると考えがちですが、利用可能額が多い分だけ制約があることに気が付かずに他の交通系電子マネーと同じ使い方をすることは危険です。
では、PiTaPaならではの現金化事情とはどのような点に注意しなければならないのでしょうか。

助さんがいつの間にPiTaPaを持っていたとは。儂よりも全国を飛び回るお銀が詳しいじゃろうから、お銀よ説明してあげなさい。


PiTaPaの現金化はチャージとポストペイで事情が変わる
PiTaPaの現金化を行う際には、PiTaPaが基本的にポストペイ方式を採用したIC非接触型カードという点に着目しなければなりません。
同じ関西圏でJR西日本が展開しているICOCAエリアでも使えるようにするため、チャージによるICカード型電子マネーとしても使用出来ますが、あくまでもPiTaPaとして使う場合にはポストペイ方式が原則です。



PiTaPaのポストペイは急遽導入に踏み切ったことが原因
PiTaPaがポストペイ方式を採用したことは、Suicaが登場した1999年当時はスルッとKANSAIを積極展開する時期と重なっていたことが背景にあります。
フル規格でSuicaと同じ交通系非接触型ICカードを導入するためには、開発費用が嵩むだけでなく、登場させたばかりのスルッとKANSAIを僅かな期間で廃止しなければならないことに抵抗感があったわけです。
そこで、香港の交通系電子マネーシステムを参考にして、フル規格ではなく後払い式とするポストペイ方式により、自動改札部分だけの改修でPiTaPaが導入可能だと判断して開発費を1/5に圧縮した経緯があります。
ポストペイだからこそ割賦販売法の影響を直接受ける
ポストペイ方式を採用したことから、交通系非接触型ICカードでありながら事前審査が必要になり、PiTaPaは2009年12月に改正された割賦販売法の適用対象となりました。
システム開発を三井住友カードが行い、指定個人信用情報機関CICへPiTaPa発行元の運営会社が加盟して、クレジットカードに準ずる扱いとなったわけです。
このため、信用情報が悪化していたり総量規制に抵触する人に対しては、PiTaPaを発行出来ないことになりました。
また、利用規約の中にクレジットカード会社と同様に換金目的での商品購入を禁止する文言が盛り込まれています。
PiTaPaを現金化する際には、商品買取方式による現金化はPiTaPaの利用停止や強制解約に繋がる違反行為とみなされるわけです。
ICOCAとの相互利用のためにチャージ機能が追加された
PiTaPaはポストペイ方式を採用した交通系ICカードとして単独カードだけでなく、クレジットカード一体型も提携カードとして各種登場しています。
JR西日本が展開するICOCAは交通利用が2003年、電子マネー払いが2005年から登場しており、PiTaPaとの相互利用は2009年の合意に基づきプリペイドカードとポストペイの棲み分けを行うことで利用促進がなされました。
本来のPiTaPaはポストペイ方式のみが採用されていましたが、システム側が対応することにより電子マネーとしてのチャージ機能が増えたわけです。
このため、PiTaPaの現金化には
- チャージ部分の現金化
- ポストペイ方式による買い物に対しての現金化
の両方が存在します。
どちらについての現金化を行うのか違いを理解した上で行わなければ、PiTaPaがクレジットカードに準じた扱いだからこそ利用停止措置や強制解約の危険性があります。

チャージした記憶があるものの、最後にチャージした残高を使ったのがいつか覚えていないですね。近年は放置していたので、ポストペイ方式の現金化なら手軽だと分かりました。
住んでいるエリアと利用する交通機関により関西圏では使い分けが必要だからこそ、関東圏とは異なる交通系非接触型カード同士の棲み分けが必要になったわけですね。

PiTaPaにチャージした金額の現金化方法とは
PiTaPaにチャージした金額を現金化するためには、どのようにしたら良いのでしょうか。
チャージした金額を使用できる金額がPiTaPaの場合には、1日最大3万円かつ1カ月合計5万円以内という制限があります。
オートチャージにも対応していますが、無制限に使えるわけではありません。

利用限度額を大きく設定していてチャージ可能額も関東圏で使われているSuicaやPASMOよりも多いからこそ、電子マネーとしての支払いに上限を設けていることが分かります。

PiTaPa自体を解約すれば手数料500円で現金化出来る
PiTaPaを現金化する際に、チャージ額そのものをすべて現金化したいなら、思い切って解約して返金を受けるという方法があります。
解約手数料として500円が必要となるものの、手数料を控除した金額を全額返金してくれるからこそ、もう使う予定が無いならば思い切って解約を行い現金化する手があるわけです。
返品による現金化は店舗次第
PiTaPaを使って購入した商品を返品すれば、現金にて返金してくれる店舗が少なくありません。
PiTaPaで購入した商品の返品は、本来ならば店舗で取り消し処理を行うことによりPiTaPaへの取り消し処理により現金による返金は行われないはずです。
しかし、実際には店舗側で返金処理が面倒だからという理由で、手数料を支払ってでもそのままの取引履歴を維持して返品時に現金による処理をしてしまうことが珍しくありません。
返品により現金化出来るかどうかは、店舗側がPiTaPaへの取り消し処理を面倒に思うかどうかで実現性の有無が決定します。
購入商品の現金化は換金率が高い商品を選ぼう
電子マネーとしてのPiTaPaを使ってチャージ残高を使った現金化を行うならば、換金率が高い商品を選んで購入することが望ましいです。
PiTaPaで購入可能な商品は、残念ながらギフト券や金券類は対象外となっているので、1日に利用可能な上限額3万円を考慮した上で換金率が高い商品を探し出して購入する必要があります。
日付をまたぐことにより、1カ月の上限額合計5万円の範囲内で複数商品を購入し、買取店へ持ち込むといった方法も考えられます。
PiTaPaのポストペイ利用分の現金化は要注意
PiTaPaの中でもポストペイ利用分の現金化を行う際には、慎重に行わなければならないことを知らない人が少なくありません。
PiTaPaは後払い方式だからといって、先に購入した商品を好き勝手に転売していると、PiTaPaの利用規約に基づき強制解約処分となってしまうからです。
では、なぜPiTaPaのポストペイ利用分は注意して現金化しなければならないのでしょうか。

PiTaPaは月末締めで翌々月10日頃に銀行口座からの引き落としとなるので、最大70日間支払いを後回しに出来ます。この時間差を利用して先にどうしても必要な分だけ現金化することが出来るのではないでしょうか。


事実上のクレジットカード現金化と変わらない監視体制
PiTaPaはポストペイ方式を採用しているために、改正割賦販売法に基づく総量規制の対象となっています。
年収の1/3を超える借入が制限されていることから、購入日と支払日に最大70日の差が出るPiTaPaでの支払いについても返済状況が個人信用情報機関CICへ随時記録されることになっているわけです。
PiTaPaの利用代金を滞納していて、61日以上の長期滞納により延滞状態となると、個人信用情報機関へ金融事故を起こしたことを意味する異動情報が記録されます。
また、PiTaPaを現金化したことが分かっても強制解約となるだけで他の影響が無いと思われがちですが、割賦販売法に基づき指定信用情報機関CICへ記録が残されることから、他の保有クレジットカードについても更新時審査に引っかかる可能性が出るわけです。
PiTaPaのシステム設計を行ったのが三井住友カードであることから分かるように、PiTaPaの利用履歴は事実上はクレジットカード会社と変わらない監視体制にあっても不思議ではないわけです。
支払い履歴が個人信用情報機関CICに掲載される意味は重い
ポストペイ方式を採用しているPiTaPaでは、銀行口座からの引き落とし金額についての連絡は、締め日の翌月25日頃に通知されます。
PiTaPaで1カ月に利用可能な金額上限が5万円に制限されているものの、交通費として使用する分は別枠で設定されているので、交通費として多額を使用した場合には銀行口座の残高を気にしなければなりません。
毎月の支払状況が割賦販売法に規定されている指定信用情報機関CICへ登録されることは、しっかり返済をしていれば信用が積み増しされることになります。
しかし、長期延滞を行った結果やPiTaPaのポストペイ方式による現金化を行った事実を運営会社に掴まれて強制解約となった場合には、残念ながら他のクレジットカード更新審査や途上与信にも影響しかねません。
購入商品の履歴がチェックされるからこそ現金化時は慎重に
PiTaPaにより購入する商品は、購入履歴が詳細に残ることから1人1つしか購入しない商品を続けて大量に買い込むことは避ける必要があります。
例えば、お弁当を毎日購入している履歴なら不自然ではありませんが、炊飯器を毎月購入している履歴があれば不自然極まりありません。
1世帯に1つあれば十分と考えられる家電製品を何台も購入し続けることは、誰の目から見てもあり得ないわけです。
このため、いくらPiTaPaを現金化する際に買取率が高い商品を見つけたからといって、特定の商品のみを換金率狙いで絞り込んで購入し続けることはPiTaPaの現金化を早期に発覚させてしまう原因となりやすいわけです。
PiTaPaを現金化するならポストペイ方式のメリットとリスクを把握した上で慎重に行動しよう
PiTaPaを現金化する際にチャージ部分についての現金化だけならば、日常生活を行う上での買い物とみなされる範囲において不自然さがありません。
しかし、ポストペイ方式により支払いを最大70日間遅らせることが出来る点を利用した購入商品の転売による現金化は、PiTaPaが改正割賦販売法に基づき指定信用情報機関CICへ履歴が残る点からも注意する必要があります。
クレジットカードと同じ割賦販売法の規制を受ける以上は、PiTaPaのポストペイ方式を利用した現金化では、換金率のみに着目することなく購入商品の履歴が知られていることを前提として分散させることが望ましいです。