クレジットカードの「延滞」は赤信号!黄色信号である「滞納」時点で手を打つべし

クレジットカード 滞納
調査員:たくや
クレジットカードの滞納は、いつ誰にでも起き得ることですが、程度の差があるので一概に責められるものではありません。

実際にカード会社も数日の滞納程度ならば、入金忘れとして処理することが一般的です。

しかし、滞納から延滞になるほど払えない状態が続くと、クレジットカード会社は一気に対応が変わると知っておく必要があります

では、延滞と滞納にはなぜ大きな開きが発生するのでしょうか。

目次

クレジットカード利用料が払えない時は延滞を避けよう

クレジットカード利用料が払えない時は延滞を避けよう
クレジットカード利用料が払えないために一時的な滞納状態になることは、ついうっかりという理由から誰にでも起こり得るものです。
でも滞納状態が続くとクレジットカードが使えなくなる原因となります。

よくあるパターンとして、海外旅行から帰国した翌月の請求を見て青ざめてしまうことが考えられます。

普段からリボ払いを利用している人に多い勘違いですが、日本国内では一括払いを自動的にリボ払いへ変更してくれる場合であっても、海外利用分については一括払いというケースが多いです。

しかし、対処方法さえしっかり把握していれば、実はまだこの時点ではさほど大きな問題とはなりません。

なぜなら、滞納になることが分かった時点でカード会社へ事前に相談出来るからです。

延滞と滞納の違いを理解することが先決

延滞と滞納は一見すると似た意味と考えられますが、クレジットカードやカードローンの世界では全く異なる意味合い重みがあります。

このため、以下のような違いがあることを最初に理解しておく必要があります。

滞納とは

滞納とは、約定返済日の翌日になっても返済額の弁済が済んでいない状態を指します。

約定返済日の前にカード会社へ電話連絡の上で相談を行っていても、弁済が済むまでは滞納状態であることに変わりありません。

約定返済日よりも前にカード会社へ相談した上で、支払額の変更が認められた場合には契約内容変更として滞納には該当しません

滞納は、延滞に至るほどの重大な契約違反ではなく、解消可能な水準のものと考えて良いです。

延滞

延滞とは、「61日以上の継続した滞納または3ヶ月以上の滞納が続いた状態」を指します。

カード会社ごとに締め日と約定返済日が異なるので、目安としては3ヶ月の滞納で延滞状態となりますが、最も短い場合で61日以上の滞納により延滞状態に変わります。

滞納時点ではカード会社との間のみで話し合いをして返済を行うことになりますが、延滞状態となると金融事故として個人信用情報機関へ異動情報掲載が行われる水準です

他社にも金融事故を起こしたことが知られてしまうので、延滞事故を起こすと他の保有しているクレジットカードが次回更新拒否という状態になりかねません。

クレジットカードの滞納はカード会社への事前連絡が必要

クレジットカードの滞納はカード会社への事前連絡が必要
クレジットカードの滞納は、カード会社へ事前連絡を行うことである程度回避出来る可能性があります

特に問題となるのは、約定返済日前日までに電話連絡することなく滞納状態に陥った場合で、うっかり口座入金を忘れた場合以外の本当に払えない場合です。

カード会社へ事前連絡を行うことにより、次のような解決方法を提案されます。

クレジットカードの滞納の解決方法
  1. 1.銀行への引き落とし手続前(約定返済日4営業日前まで)ならば返済金額を変更できる可能性がある
  2. 2.利息分だけ引き落とし日迄に銀行振込にて入金
  3. 3.引き落とし日から1週間以内の○月○日に指定銀行口座へ入金出来るという約定をする

上記の3種類のうち、何れかの方法でまとまれば滞納を行ったとしても大した問題にはなりません。

クレジットカードの契約期間中には、様々な緊急事態が発生することがあるので、あくまでもカード会社へ約定日前の電話連絡による相談が望ましいわけです。

延滞と滞納履歴は個人信用情報機関へ掲載される

延滞と滞納を行った履歴は、個人信用情報機関へ取引や金融事故を起こした都度登録されます

延滞については金融事故扱いとなるので、カード会社が加盟している個人信用情報機関の異動情報欄へ延滞の事実が記録されて、解消から最大5年間は異動情報として残り続けます。

厳密には延滞情報は、信販会社系のCICと銀行系のJBAは最大5年間、消費者金融系のJICCは最大1年間残ることになりますが、CICとJICCはCRINにより相互に情報共有が行われるので最大5年間と考えて良いです。

延滞履歴が最大5年間残り続ける理由は異動情報にある

個人信用情報機関は、カード会社ごとに加盟する信用情報機関を選ぶことが出来ますが、貸金業法による指定個人信用情報機関は、CICJICCの2社が指定されています

このため、CRINという制度により信用情報共有が行われますが、CICとJICCはどちらか一方に信用情報照会をかけるだけで他方の情報まで分かるほど情報共有が密接に行われている状態です。

クレジットカードは銀行も一部発行しているので、銀行が加盟するJBAと情報共有は異動情報のみに限られるために金融事故に該当する延滞履歴は銀行も確認出来ます。

延滞履歴が残っている間は、全ての金融機関からの借入が事実上困難となるために、クレジットカードの新規審査に通ることはありません

滞納情報は25ヶ月で押し出されるとはどういう意味か

一方、60日以内の滞納については、同一の個人信用情報機関に属しているカード会社同士ならば、取引履歴を確認することで毎月の支払状況を過去24ヶ月分記号によりチェック可能です。

毎月約定返済額が支払われているかどうかを$マークにて確認出来るようになっているので、他社からもチェックしようと思えば滞納情報を過去24ヶ月分まで確認出来ます。

例えば、個人信用情報機関のCICに対して信用情報開示請求を行うと、各クレジットカードやカードローンの取引履歴欄には、過去24ヶ月分について以下のようなマークを確認可能です。

具体的な意味は次のようになります。

約定返済額通りまたは約定返済額以上の入金があった
P 約定返済額のうち一部が入金された
R 第三者からの入金があった
A 弁済者本人の事情による未入金
B 本人以外の事情による未入金
C 未入金理由が不明な状態となる原因不明の未入金
該当月に請求と入金が両方共に存在しない(クレジットカード利用が無い場合も含む)
空欄 クレジットカード会社が情報更新をしていない(クレジットカード利用が無い場合も含む)

上記のように毎月取引があるクレジットカード会社は、支払状況を個人信用情報機関へ登録しているので、滞納によりAマークが付いたとしてもその後は約定返済額をしっかり払い続けると取引履歴には$マークが並びAマークは徐々に押し出されます

クレジットカードの滞納を防ぐ方法

クレジットカードの滞納を防ぐ方法
クレジットカードの滞納を防ぐためには、どのような手段を講じれば良いのでしょうか。

いざという時のために、利用規約をしっかり確認しておくだけでも、クレジットカードの絞り込みに役立ちます

なぜなら、クレジットカードは1人複数枚所持することが出来るので、必ずしも1度作成したクレジットカードを未来永劫使い続けなければならない義務は無いからです。

では、クレジットカードを滞納しそうになった時には、どのように滞納を防げばよいのでしょうか

クレジットカード利用料を払えないかどうかは締め日で変わる

クレジットカード利用料金は、締め日と約定返済日に必ずズレがあります

また、クレジットカードを使ったとしても、カード会社へ売上として届かなければカード会社からの請求が発生しません。

なぜなら、クレジットカードのショッピング利用はあくまでも利用代金を立て替え払いする制度であって、キャッシングとは異なり与信を掛けたからといって必ず決済されて売上が上がるとは限らないからです。

クレジットカードには古くからインプリント決済という方法があり、オンラインで繋がっていなくても個別に売上票をオフラインにてカード会社へ請求する方法が今でも使われています

このため、締め日の前日に一度請求内容を確認しておくことが望ましいです。

締め日から口座引き落とし日までの間に支払方法変更可能期限が設けられているクレジットカードならば、一括払いでは支払いが難しくても事前に2回払いや分割払いへ変更をかけることで滞納を回避出来ます

支払い方法の変更は、利用規約の範囲内で自由に行えるので、滞納とは無関係となるわけです。

一括払いなら分割払いへ変更して滞納を回避

一括払いなら分割払いへ変更して滞納を回避
一括払いから分割払いへ変更して滞納を回避する方法ならば、正規の支払い方法として各カード会社にて認められています。

実際には一括払い専用契約が多いAmericanExpressカードのように、分割払いに別途審査が必要なクレジットカードもありますが、ステータス性が高いカードを除いて分割払いを各クレジットカード会社は認めている状況です

なぜなら、一括払いと2回払いには金利手数料がかかりませんが、分割払いには金利手数料設定が出来る分だけカード会社は利益が増えるからです。

このため、最初から支払い方法に関係なくリボ払い手数料を徴収出来るリボ払い専用クレジットカードというタイプも登場しています。

しかし、分割払い手数料やリボ払い手数料は高額な利息を払い続けることになるので、あくまでも普段は一括払いを利用しつつ滞納を回避する目的で分割払いへ必要に応じて期限内に変更する方法が望ましいです。

思い切ってリボ払い専用として使えるクレジットカードを契約する

一度でも滞納しそうでヒヤリとした経験があるならば、思い切ってリボ払い専用クレジットカードを契約するという方法があります。

単にリボ払い専用クレジットカードでは、高額なリボ払い手数料を延々と払い続けてしまう可能性が高いので、一般的なクレジットカードを常時リボ払い専用クレジットカードとして使える三菱UFJニコスのVIASOカードが理想です

リボ払い専用として使えるクレジットカードには、次のような2タイプが存在します。

  1. 一般的なクレジットカードでありながら楽PAY登録をすることで日本国内全ての支払が自動的にリボ払いへ切り替わる三菱UFJニコスのVIASOカード
  2. 最初からリボ払い専用クレジットカードとして展開されているOrico UPTY

なぜ三菱UFJニコスのVIASOカードが滞納防止に適しているのか

一般的なリボ払いは、残高スライドリボルビング方式が採用されているので、毎月の返済額は最低弁済額となって返済額のうち半分以上は利息支払いに充当されていつまでも借入残高が減りません

残債が常に高く積み上がる状態となって、リボ払いはいつまでも支払いが終わらずにクレジットカード会社だけが儲かる悪魔のような仕組みです。

OricoのUPTYカードは、追加支払いを毎月事前予約して繰り返さない限り、残高スライドリボルビング方式の罠に嵌ってしまいます。

  • 一方、三菱UFJニコスのVIASOカードは、楽PAY登録を行っている期間のみ日本国内で使ったショッピングに対して常にリボ払いとなります
  • VIASOカードでは、毎月の返済額は元金返済額を設定するので、例えば5,000円ではなく50,000円という返済額を設定しておけば、毎月使用した金額のうち50,000円を超えた時のみリボ払い扱いとなるわけです。
  • 普段は一括払い状態で使用しつつ、使いすぎた時だけ翌月に50,000円を超えた分だけ支払いが後送りされるというリボ払いの利点を活かせます

この方法ならば、常に支払い可能な限度額を設定しておくだけで、使いすぎた月があっても滞納せずに何とか支払いつつ翌月以降は緊縮すれば滞納に陥ることはありません。

払えないクレジットカード利用料は延滞になった時点で債務整理しよう

払えないクレジットカード利用料は延滞になった時点で債務整理しよう
どうしても払えないクレジットカード利用料は、滞納から延滞になった時点で債務整理を検討する必要があります。

なぜなら、滞納状態とは異なり延滞にまで至った時点で、既に2ヶ月分以上の支払いが溜まった状態となっているからです。

家計見直しを含めた総合的な判断をしなければ、家計そのものが破綻するリスクがあります

早期に債務整理に着手すれば、任意整理程度で済む可能性が高いです。

払えない時にもがいてどうにかなるのは滞納まで

クレジットカードの滞納は、約定返済額として2ヶ月分未満の範囲内までなら副業を行ってどうにかなります。

しかし、延滞に至る61日以上の滞納状態は、生活を抜本的に見直すといった家計管理にまで手を付けなければ滞納状態を解消出来ません。

このため、滞納原因を正確に把握した上で家計簿をチェックして削れる部分を洗い出すことから始めると良いです。

カード会社に対して返済日を約束出来る状態にまで持って行ければ、徐々に信頼回復を目指すことが出来ます。

このため、クレジットカード会社へ滞納発生前に連絡すると、病気に伴う入院や一時的な収入不足が怪我といった治る見込みがある状態で発生しているなら、元金返済を止めて利息のみの支払いとする方法があります。

約定返済日前にカード会社へ連絡して相談すれば、利息支払いだけでも正規の支払い方法として認めてくれる可能性が高いです。

絶対に行ってはならない自転車操業

つい行ってしまいがちなこととして、滞納を解消するために他社から借入して返済する自転車操業があります。

  • 自転車操業に手を出すと、本来ならば返済可能な借金がすぐに返済不可能な状態にまで雪だるま式で増えてしまうことに気付かなければなりません
  • クレジットカードにて分割払いを行っていると、元金に対してのみ利息が掛かることになるので、あくまでも単利計算となります。
  • なぜなら、毎月の約定返済額に利息支払いが全額毎回入っているからです。
  • 利息をしっかり支払った上で元金の一部も分割して支払う方法が、正規の分割払いとなります

一方、他社から借入した現金で返済を行ってしまうと、他社からみれば新たな借入額全体が元金となるので、何度も自転車操業を繰り返すごとに単利であるはずの借入が複利計算となってしまうわけです。

利息が利息を生む形になってしまうと、いくらクレジットカードのキャッシング枠とショッピング枠を併用しても日常生活が元に戻ることは無く、滞納が延滞にまで一気に進んでしまいかねません

延滞に陥ると債務整理以外に手段が無くなる

長期滞納により61日以上滞納期間が増えると、いつ延滞とクレジットカード会社へ認定されても不思議ではありません。

3ヶ月の滞納で延滞という金融事故情報が、個人信用情報機関の異動情報欄に記載されるので、クレジットカードは更新審査に通りにくくなるだけでなくいつ突然利用限度額が0円となり返済専用になってしまうか分かりません

一度延滞情報が異動情報欄へ書き込まれてしまうと、最大5年間は消えないことになるのでクレジットカード申し込みが通らないだけでなく、債務整理をして借金を全て完済するまで信用が無い状態となります。

債務整理を行っても同様に金融事故情報として債務整理を行った事実が記録されるので、個人信用情報機関から異動情報が消えるまでは新たな借入はほとんど出来ません

クレジットカードは延滞に陥る前の滞納状態で処理をしよう

クレジットカードは延滞に陥る前の滞納状態で処理をしよう
クレジットカードの利用料金が払えない状態は、クレジットカードの売上票がタイムラグによりまとめて同じ月に上がってしまうと発生することがあります。

滞納になりそうだと判明した時点で、カード会社へ連絡して分割払いに再設定出来ないか早期相談を行うと良いです。

普段から利用明細票を毎月確認しておけば、約定返済日よりも前に滞納状態になりそうだと早期発見出来るので、約定返済日前に連絡して相談しつつ解決方法を探れば延滞に陥る可能性を減らせます。

まとめ
  • クレジットカードの滞納はカード会社への事前連絡が必要
  • 一括払いなら分割払いへ変更して滞納を回避
  • 延滞に陥る前の滞納状態で処理をしよう

この記事を書いた人

某国立大学経済学部卒業後、金融系の会社に就職。

堅苦しい社風が合わずに6年で退職するものの、仕事柄クレジットカードについて詳しくなる。

クレジットカードの情報は世の中に多いけど、中には古いものがそのままということもあり危機感を感じていました。

退社をきっかけに、クレジットカード関連の情報サイトを開始するも上級者向けの情報ばかりで、あまり人気が上がらず閉鎖することに。
その後も仕事の経験からクレジットカードについては興味もあり、常に最新情報を追い続ける。

経験と知識を活かして、クレジットカードの賢い使い方などをこちらのサイトで紹介するようになりました。

過去の失敗から、クレジットカードの選び方など初心者でも役立つ内容や、さらに上級者向けの情報も合わせて、精力的に記事を執筆しています

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