クレジットカードを使い慣れていない日本人にとって、サインが持つ重要性をさほど認識していない人が少なくありません。
海外でクレジットカードを紛失しても、カード裏面のサインが未記入ならば一切盗難紛失保険の適用を受けられず、不正利用された金額は全額自己負担です。
なぜなら、クレジットカードのサインは支払い意思を法的に認める意味合いを持つからです。
クレジットカードのサインは日本人の意識とはズレている
クレジットカードの裏面に本来記入すべきサインを未記入のまま使っていると、1万円以上の買い物をした際にその場で販売店からカードの裏面にサイン記入を求められることがあります。
サインの拒否をすると買い物を現金で支払うように言われて、クレジットカードの使用が認められません。
では、クレジットカードの裏面にサインが無いことはどのような意味を持つのでしょうか。
サインが無いクレジットカードは販売店が支払い拒否出来る権利を持つ
サインが無いクレジットカードを確認した販売店は、クレジットカードによる支払いを拒否できる権限をカード会社から与えられています。
なぜなら、クレジットカード裏面の署名には、本人確認という意味合いがあるので不正利用を防止するために確認しているからです。
また、後日同じクレジットカードが盗難被害に遭った時には、サイン未記入のクレジットカードを通していた販売店は、該当売上票自体をカード会社から認めてもらえずにカード会社からの立て替え払い金を受け取れません。
場合によりカード会社との加盟店契約を解除されるほど重要な意味を持つわけです。
日本人の感覚からすれば、本人がクレジットカードを使っているなら問題ないと思われがちですが、販売店はあくまでもクレジットカード加盟店であって立て替え払い入金は適切な取引を行った場合のみ行われます。
加盟店としてのサイン確認義務を果たしていないと、売上票自体に疑義がかけられて支払い拒否対象となってしまうわけです。
クレジットカードで購入する際はサインが最も効果的だと世界では認識されている
クレジットカードによるショッピングは、現金支払いとは異なり本人以外が利用できないクレジットカードを決済手段に用いることで、強盗被害を抑止できる効果を持っています。
多額の現金を持ち歩いていると、現金は持っている人に所有権が認められるので、強盗被害に遭うリスクが高まりがちです。
クレジットカード決済を利用すれば、販売店で直接現金のやり取りが無いためにクレジットカード自体を強奪しても本人以外使えないから意味がありません。
実際に海外では日本で言う1万円札に相当する高額紙幣を出しても、釣り銭が用意できずに高額紙幣の使用を断られてしまうことが珍しくないほどです。
また、現金に対する信頼性が日本ほど高くない国が多いことも、クレジットカードが広く普及している理由の1つとなっています。
クレジットカードで購入する方法が日常生活に溶け込んでいるからこそ、日々の買い物でサインをする機会が海外では日本よりも遥かに多いです。
このため、クレジットカードで購入する際のサインは毎日書きなれているので、何度書いても全く同じ筆跡で記入出来るように子供の頃から訓練している人が多いです。
クレジットカードのサインは日本人として実印を押していることと同じ意味を持つ
日本国内ではクレジットカードの普及率が近年上昇しているものの、
- カード決済手数料の高さ
- 分割払い金利の高さ
から普及率は先進国の中でも極めて低いです。
決済方法として現金に信頼性を持たせてきた日本人にとって、クレジットカードは馴染みがまだ少ない部類に入るため、クレジットカード裏面のサインについて重要性を理解していない人が多くなっています。
サインを適当にしてしまう人に対して、クレジットカードのサインは
- 「署名と実印を押したほどの意味がある」
- 「拇印を押すほどの法的責任がある」
という点を教えるだけで驚く人が珍しくありません。
預金口座作成時に届け出る印鑑についても、印影を鑑定するほどいざという時には重要な意味を持つように、クレジットカードを使う時に行うサインにも本人が確かに支払いを約束するという法的責任を持った意味合いがあるわけです。
サインの重みを知ることが出来れば、クレジットカード決済時にいかにサインが重要であって、クレジットカード裏面にサインを記入しないことがいかにハイリスクか分かります。
クレジットカードのサインにはどのような決まりがあるのか
クレジットカードを使う時に必要なサインは、本人が書いたことが分かれば実際にどのようなサインでも認められるのでしょうか。
ポイントとなるのは、クレジットカードがそもそも欧米で始まった小切手を進化させたものだと分かれば納得出来るはずです。
そもそも日本がクレジットカード発祥では無いために、サインに日本独自のルールを適用させること自体意味がありません。
漢字以外のサインが認められる理由はクレジットカードが世界共通だから
クレジットカードで使うサインは、本人が自筆したものであることが重要であって、漢字以外のサインであっても何ら問題ありません。
カタカナだけでなく平仮名であってもサインとして有効であって、同じ筆跡を繰り返し何度でも維持出来るなら
- アラビア文字
- 「へのへのもへじ」の落書きに見えてしまうサイン
などであっても構いません。
アメリカ合衆国大統領が大統領令にサインしている時に、ドナルド・トランプ大統領がギザギザした独特なサインをしている様子を見たことがある人が多いはずです。
本人が考案したオリジナルサインならば、その筆跡を維持出来る限り自由にサインとして使うことが出来ます。
ただし、落書きに見えてしまうものについては、
- 販売店のスタッフからの冷たい視線に耐えられるだけの精神力を持てるか
- 見慣れない筆跡が一致するかクレジットカード裏面のサインと睨めっこする
ということになるので決済完了に時間を要する点が問題です。
それでも本人が該当するサインを利用し続けたいなら、基本的に本人の自由となります。
海外の著名人が記入するサインは何度書いても同じとなるよう練習している
芸能人が行う色紙に書いたサインは、専門の鑑定士が確認すれば本物かどうかすぐに見分けることが出来るとされています。
同様に海外の著名人が記入するサインは、幼少期より繰り返し自分のサインを練習しているからこそ、どのようなペンと用紙を使っても常に同じ筆跡でサイン出来るように訓練済みです。
日本人がクレジットカード裏面のサインを行う際には、最初に何度か練習書きを別の紙にしてから行うと失敗するリスクを減らせます。
サインを書き慣れていない日本人にとって、今までサインを繰り返し練習してきた経験が無いからこそ、書く度に筆跡にばらつきが出てしまいがちです。
クレジットカードをこれから使い続けたいならば、第三者に筆跡を真似されても判別出来るほどサインに磨きをかけておくことが望ましいと考えられます。
クレジットカードのサインはフルネームである必要すらない
日本人の多くが勘違いしやすいこととして、クレジットカードのサインはフルネームでなければならないという誤った認識があります。
クレジットカードの裏面に記載するサインは、あくまでも販売店で売上票にサインする筆跡と同じサインが求められているので、必ずしもフルネームであることは求められていません。
姓だけ名だけといった名前の一部であっても問題なく、書体を崩した草書体であってもなんら問題なくサインとして認められます。
重要なことは、クレジットカード決済を行う際に自分が確かにサインしたものかどうかを後から売上票を提示された時に判別できるようにしておくことです。
クレジットカード裏面のサインはセキュリティ対策のバロメーター
クレジットカード裏面のサインを見ると、カード犯罪を行おうと考えている人にとって、セキュリティ管理状況を簡単に見抜かれてしまうキッカケとなります。
サインを綺麗に書こうとして特徴が無い文字にしてしまうことは、残念ながらセキュリティ水準を下げてしまう行為となりかねません。
では、クレジットカード裏面のサインはセキュリティ面でどのような重要性を持つのでしょうか。
クレジットカード裏面にサインしていないと盗まれた後にカードが使い放題になる
クレジットカード裏面にサインしていない状態でクレジットカードが盗まれると、盗まれたクレジットカードは名義人がカード会社へ盗難紛失に伴う緊急停止連絡をするまではカードが使い放題となってしまいます。
なぜなら、カード加盟店で暗証番号入力を求められてもサインによる決済を希望すれば暗証番号入力を強要出来ないことになっているからです。
盗んだクレジットカードの裏面に犯人が自分で名義人のサインを記入して、販売店にてクレジットカード決済を行えば、裏面のサインと売上票のサインは犯人が同一人物として自ら記入したものですから通ってしまいます。
クレジットカードを使用する際に、毎回写真付き身分証明書を提示しなければ使えないクレジットカードならば、多くの人が利用しなくなることは確かです。
それなら現金決済で良いという話になってしまうことから、クレジットカード裏面のサインと売上票に行うサインが一致していれば、販売店は商品の引き渡しをすんなり行ってしまいます。
販売店としてはカード加盟店規約に基づき、筆跡チェックは行っているので販売店に過失は無く、カード裏面にサインをしていなかった名義人本人に支払い義務が発生します。
セキュリティが甘いサインは偽造のリスクが伴う
セキュリティが甘すぎるサインは、偽造のリスクが伴ってしまうので、普段書いている癖がある文字をそのままサインとして使うことが望ましいです。
欧米人は感じ文化に慣れていないから偽造されるリスクが少ないと誤解されやすいですが、
- 中国
- 台湾
- ベトナム
といった国の人でも漢字を学んでいる人は多いので漢字だから安全とは限りません。
字が上手な人ほど真似されやすいという問題があるので、何気なく書いているサインほど実は偽造されるリスクが少ないと知っておくと良いです。
サインが訂正されたクレジットカードは使用不可
クレジットカードの売上票にサインすることは、売上票に記載されている売買契約について了承した上で契約を結ぶことを意味します。
このため、クレジットカード裏面にあるサイン欄へ記入されているサインが訂正されている形跡があるだけで、販売店は契約拒否を行使可能です。
普段書き慣れないサインを硬質プラスチック製のクレジットカード裏面に記載することは、
- うっかり家族の名前を書いてしまう
- 文字の配分が気になって記入間違いをする
ことが珍しくありません。
間違えたとしても訂正して使うことは、クレジットカードの不正利用を疑われてしまうので絶対に避ける必要があります。
サイン欄の書き損じは、カード会社へ即座に連絡して書き損じてしまったことを告げれば、再発行手数料と期間はかかるものの改めて再発行されたクレジットカードを送ってもらえます。
また、クレジットカードを使い続けるうちに有効期限が長いクレジットカードほどサイン欄が汚れて見えにくくなってしまいがちです。
いくら見えにくいからといって、サイン欄を綺麗にしようと消しゴムで削るといった行為をすると、サインを訂正したと疑われてしまいます。
そこで、カード会社へ連絡してサイン欄が見えにくいことを相談すると、状況判断によりクレジットカード再発行に応じてくれることがあります。
なぜなら、カード会社としてもサイン欄に問題があるクレジットカードをそのまま使われるよりも、クレジットカード再発行により引き続きセキュリティを確保しつつ使いつづけてもらえることが利益に繋がるからです。
各カード会社により再発行基準は異なるので、サイン欄をいじることなくカード会社へ電話連絡してみると相談してくれる優良顧客として認められます。
クレジットカードのサインは筆跡鑑定に耐えられるくらいが良い
クレジットカードの裏面に記入するサインは、売上票に記入するサインと筆跡が一致しなければなりません。
日本人が考えているよりも売上票に記入するサインは、契約内容を承認する法的なサインという位置づけとなるので重要です。
普段書いている癖が強い文字ほど筆跡鑑定に耐えられるので、クレジットカードを長く使うならサインの練習を行っておくことが望ましいです。
クレジットカードの知識を深めておくことで詐欺リスクなども下がるので、あまり詳しくない方は下記の記事もおすすめです。
クレジットカードをあまり使ったことがないという人は、参考になると思うのでぜひ読んでみてください。