クレジットカードを使っていると、時々不正利用防止のためにカード会社へ電話連絡するといったケースがあります。
大きな買い物をする際に家電量販店にてよく見られる光景ですが、カード会社は不正利用対策を徹底させていることが分かる位置権です。
しかし、クレジットカードの不正利用は巧妙化しているので、カード会社だけの対策では難しい現状があります。
では、クレジットカードを不正利用されたかもしれないと思った時には、警察への届け出から返金条件まで、どのような対応が求められるのでしょうか。
クレジットカードの不正利用には2種類ある
クレジットカードの不正利用には、大きく分けて2種類あることを知っておく必要があります。
なぜなら、クレジットカードは本人のみが使用可能なカード会社から貸与されているカードであって、あくまでもクレジットカードの所有権はカード会社にあるからです。
本人の名義がカード券面に印字されているからといって、あくまでも貸与品だからこそクレジットカードの保管状況管理は本人の責任となります。
- クレジットカード自体を盗難・紛失した場合にはカード会社へ先に電話連絡してから警察へ届け出る
- 手元にあるクレジットカードが不正利用された疑いがあるなら、カード会社へ連絡して相談して警察への届け出有無はカード会社の指示に従う
何れにしても、クレジットカードの不正利用が疑われる時点で一度カード会社へ電話連絡して、その場でクレジットカードの緊急停止措置を取ってもらう必要があります。
盗難・紛失の場合は警察への届け出が必要になる
クレジットカードが盗難・紛失の状態にあると分かった場合には、一刻も早く警察とカード会社の両方へ連絡する必要があります。
しかし、カード会社への電話連絡が優先されることは、不正利用はリアルタイムで行われてしまうので被害額を最小限に留めるため必要な措置を講じる必要があるからです。
警察への届け出を行うことは確かに重要であって、実際にカード会社による盗難補償を受けるためには警察への被害届受理番号が必要になることが少なくありません。
結果的にカード会社へ電話連絡→警察へ被害届提出→カード会社へ盗難補償手続きという3つのステップを2度手間と考える人もいます。
それでも盗難補償の対象外になるケースがあるからこそ、カード会社へ電話連絡してクレジットカード緊急停止措置を行うことは何よりも優先されることです。
クレジットカード不正利用はカード会社への届け出日が基準
クレジットカードを不正利用された時には、盗難補償があるから安心と考えがちです。
しかし、多くのカード会社では盗難・紛失補償について適用範囲を定めているだけでなく、不正利用についても合わせて盗難補償と同様に適用範囲を限定している事実を知っておかなければなりません。
盗難・紛失補償の適用範囲
- カード会社への届出日より60日以内の盗難・紛失・不正利用に対して補償を行う
- カード会社への届出日より61日以上過去の利用分については補償対象外
全てのカード会社が同じ不正利用に対する補償返金ルールを設けているわけではなく、中には最大6ヶ月以内については補償してくれる所もあります。
実際に不正利用されたことに気づくまで数ヶ月掛かったというケースが少なくないために、利用規約を詳細に確認した上で不正利用時に自己負担が発生しづらいクレジットカードを選ぶと安心出来ます。
クレジットカードを不正利用されても返金にはルールがある
クレジットカードは会員制の代金立て替え払いサービスですから、会員本人が購入していない商品については本来代金の支払い義務は無いはずです。
しかし、クレジットカードの所有権はあくまでもカード会社にあるので、貸与を受けているクレジットカードは本人名義であっても本人のものではありません。
クレジットカードの使用状況を適切に管理する義務が課されているからこそ、本来ならばクレジットカードを不正利用された時には会員本人が保護対象となっても良いはずですが、少なくとも本人に責任がある場合には返金対象とはなりません。
では、クレジットカードを不正利用されても返金されないケースとはどのようなものでしょうか。
クレジットカードの盗難補償条件を確認しよう
クレジットカードの盗難補償条件は、クレジットカードが盗難により手元に無いことが条件となります。
盗難によりクレジットカードが手元から無くなってから、カード会社へ電話連絡して緊急停止されるまでに勝手に使われた場合であっても、本人の管理責任が果たされている場合には盗難補償対象となります。
警察へ盗難届を出す前にクレジットカードの緊急停止連絡をしていない場合には、盗難被害に遭ってからカード会社へ電話連絡する迄の間に起きた不正使用について盗難補償を受けられない可能性がある点に注意が必要です。
なぜなら、クレジットカードが盗難被害に遭ったことに気づいた時点で速やかにカード会社へ電話連絡することが利用規約に明記されているので、連絡が遅れた分の責任は原則として本人にあるからです。
カード会社はクレジットカードを貸し出している立場ですから、会員本人からの申し出が無ければ不正利用されても余程普段と異なる大量の買い物をしない限り気づきません。
盗難補償を受けるためには警察への盗難届に対する受理番号が必要
盗難補償を受けるためには、カード会社へ電話連絡してクレジットカード緊急停止を行った上で、警察へ盗難届を出して受理番号を受け取りカード会社へ申告しなければなりません。
カード会社へ売上票が上がって来るまでには、タイムラグが発生することがあるので最大1ヶ月程度様子見を行うことになります。
また、警察へ盗難届を行う際には、よくある内容として家族が会員本人名義のクレジットカードを盗み出していないか聞かれるはずです。
なぜなら、家族が行った窃盗行為は刑法犯として立件出来ないことから、盗難届の受理を行っても後から取り下げることになりかねないからです。
実際に盗難届を出そうと警察署を訪れる人の中には、後日家族のうち1人がクレジットカードを勝手に使っていたことが判明することが少なくありません。
家族が使用した場合には、盗難補償の対象外となります。
暗証番号を入力した買い物は盗難補償対象外
警察へ盗難届を出す前にクレジットカードの緊急停止をしなければならない理由の1つとして、暗証番号を入力した買い物については盗難補償対象外となるからです。
クレジットカード番号はカード券面に表記されているので、クレジットカードそのものを盗まれてしまえば表面を見るだけで確認出来てしまいます。
しかし、暗証番号については会員本人の管理上の問題として処理されるので、クレジットカードが入っていた財布ごと盗まれた場合など暗証番号を窃盗犯に知られてしまう場合が少なくありません。
暗証番号の管理不行き届きは本人の責任であって、カード会社に一切の非が無いことから盗難被害に遭ったとしても暗証番号入力により決済されていたら補償対象外です。
クレジットカードを不正利用された時の返金条件は各社異なる
クレジットカードを不正利用されたことが判明した場合には、その場でカード会社へ電話連絡してクレジットカード緊急停止と共に不正利用調査を依頼しなければなりません。
なぜなら、クレジットカードを不正利用された日がカード会社への通報日から逆算して60日以内ならば返金対象となるクレジットカードが多いからです。
一般的にクレジットカード決済は、締め日から1ヶ月以内に支払日が設定されているので、カード利用日から60日あれば不正利用を常に利用明細票にて確認出来ます。
利用明細票の確認は本人の管理責任の範囲内とされているので、クレジットカードの不正利用に気付かない本人の責任となるわけです。
クレジットカードにより返金対象となる日数が180日となっているカード会社もあるので、一概に60日を超えたら補償対象外となるわけではありません。
事前に利用規約を確認しておけば、何日以内ならクレジットカード不正利用による返金対象となるか確認出来ます。
クレジットカードが不正利用されても返金対象とならない条件
クレジットカードが不正利用されてもカード会社に責任が無いため返金対象とならないことは、以下のようなパターンが存在します。
クレジットカードが不正利用されても返金対象とならない条件
- 所有者の過失による不正利用を誘発した行為をしていた場合
- 不正利用から61日以上経過していた場合
- クレジットカードの裏面に署名をしていない場合
- カード会社へ提出した書類に不備がある場合
- 暗証番号が誰にでも推察可能なセキュリティーが低すぎる場合
- 大規模災害や戦争勃発により混乱状況にある場合
クレジットカードは正しく利用していた場合のみ補償対象となる
クレジットカードの裏面に署名していない状態では、本来店頭でクレジットカード決済を行う際にも使えません。
なぜなら、店員がサインによるクレジットカード決済を行う際には、加盟店として署名が一致するか確認する義務があるからです。
1万円未満のスーパーでの買い物時には、サインレス決済が出来てしまうために見過ごしている人が多いですが、いつクレジットカードが使えないと言われても文句を言えません。
なぜなら、利用規約に署名していないクレジットカードでは決済できないだけでなく、行われた決済に対して不正利用されても補償対象外となることが明記されているからです。
補償対象外とならないように利用明細を毎月確認しよう
不正利用されたクレジットカードは、実際に不正利用された日から60日以内のみ返金保証となるカード会社が多いので、経済的な被害を受けないためには利用明細を毎月自分で確認することが重要です。
なぜなら、クレジットカードの不正利用に気がついていない間は、犯人が繰り返し不正利用を行うと考えられるからです。
利用明細を毎月チェックするだけで、すぐに利用した覚えがない不正利用を会員本人なら見つけられます。
また、まだ支払期日が来ていないならば後からカード会社に返金依頼して取り戻せないといった問題にならずに済みます。
クレジットカードを不正利用されたらどうなるのか
気をつけていてもクレジットカードを不正利用される事態は、残念ながら誰にでも起こりうるものです。
なぜなら、クレジットカードは利用限度額の範囲内で好きなだけ買い物が出来ることになっているので、利用可能な条件が揃えばオンライン決済を勝手にされてしまうことは十分に考えられます。
クレジットカードを会員サイトの決済に利用しているだけでも、会員サイトのアカウントを乗っ取られてしまったら勝手に複数の商品を購入されてしまうわけです。
では、クレジットカードを不正利用された時には、警察やカード会社は味方になってくれるのでしょうか。
クレジットカードの不正利用で警察は犯人に辿り着けないことが多い
クレジットカードの不正利用で警察へ犯人逮捕に向けて相談に出向くと、盗難届を出すことは出来ても不正利用による被害のために犯人逮捕にまでは辿り着けません。
なぜなら、オンライン決済を使ったクレジットカードの不正使用では、匿名通信を利用して第三者を踏み台にした不正アクセスを行っているので、警察がいかに捜査しても踏み台にした人までしか辿り着けないからです。
実際にカード会社が不正利用に対する補償を行った時点で会員本人は経済的な被害が無くなったために告訴要件から外れてしまいます。
- カード会社が警察に対して盗難届を出せば良いわけですが、実務上は手間がかかる割に回収出来ない金額に対しては保険適用するだけで済ませてしまうために犯人逮捕には繋がりません。
- このため、クレジットカードの不正利用では警察は頼りにならずに、あくまでも盗難時に盗難補償をカード会社から受けるため受理番号発行をしてもらうといったことしか出来ないわけです。
不正利用された分の請求は支払わなければならないのか
クレジットカードを不正利用された分は、何もせずに気付かなければ締め日以降順次請求されます。
利用明細票をチェックしていて、不正利用分に気がついた時には、速やかにカード会社へ不正利用の調査を依頼すれば自分で使っていない不正利用されたと考えられる分の請求は本来なら行われないはずです。
しかし、現実問題として実際に支払期日が到来する前の連絡ならば止めることが出来るものの、中には一旦支払いを求められる場合があるので油断出来ません。
不正利用の調査依頼前に引き落としされた金額は返金依頼を期限内に出せば返金対象
クレジットカード不正利用を調査依頼する際には、引き落としされた金額について不正利用分を返金依頼することが出来ます。
不正利用された日からカード会社へ調査依頼した日までの間が60日以内ならば、返金対象となることが多いです。
これから引き落とし予定の金額はカード会社に止めてもらう
クレジットカード不正利用に気づいてカード会社へ連絡する際は、これから引き落とし予定の金額について一旦止めてもらう必要があります。
利用代金を支払わなければ、クレジットカードが強制解約となってしまうという心配は不要です。
なぜなら、不正利用の調査依頼を出している金額については、支払停止の抗弁権を主張出来るからです。
もしクレジットカードが完全に止まることを避けたいのであれば、2枚持ちしておくと便利です。
2枚持っておくことでメイン使いしている1枚目が不正使用されてストップしても、サブのクレジットカードを使えば不便さに困ることはありません。
2枚目におすすめのクレジットカードは下記の記事で紹介しているので、もし検討するのであればこちらも併せて読んでみてください。
作りすぎると管理がずさんになることもあるので、なるべく2枚程度に収めておくようにしましょう。
カード会社への不正利用調査はどれくらいかかるのか
利用明細票をチェックした上でカード会社へ身に覚えがない利用分の不正利用調査を依頼すると、調査期間として1ヶ月程度かかることが一般的です。
盗難クレジットカードならば、警察へ盗難届を出すことになりますが、クレジットカードは手元にあるにも関わらず不正利用の疑いがある場合にはカード会社へ調査依頼を出すしかありません。
また、同時にクレジットカード自体を緊急停止した上で再発行依頼をかけて、クレジットカード番号そのものを変更することになります。
新しいクレジットカードが届くまでの2週間前後は、該当クレジットカードは使えません。
カード会社から不正利用が認められず返金されなければ消費生活センターへ相談する
明らかに身に覚えがない不正利用にも関わらず、カード会社の調査により不正利用と認められなかったとしてもすぐに諦める必要はありません。
なぜなら、消費生活センターへ相談した上で第三者に入ってもらって、調査結果の検証を依頼することが出来るからです。
本人の管理義務違反により不正利用に基づく返金対象とならないと判断される場合には、消費生活センターが入ることで不正利用として処理してもらえる可能性があります。
クレジットカードの不正利用は返金のために警察を利用する
クレジットカードの不正利用は、毎月の利用明細票をチェックしていれば比較的スムーズに発見出来ます。
盗難に伴うクレジットカード不正利用ならば、盗難届を警察へ出して受理番号をカード会社へ申告すれば、不正利用されても盗難補償対象となるので返金されやすいです。
しかし、手元にクレジットカードがある場合の不正利用は、誰が購入したか立証が難しいのでカード会社の調査依頼を気づいた時点ですぐに行わなければなりません。
クレジットカードは不正利用が認められれば返金されますが、返金には補償金支払対象期間があると知っておく必要があります。
まとめ
- 盗難・紛失した場合にはカード会社へ先に電話連絡してから警察へ届け出る
- 手元にある場合は、カード会社へ連絡して相談して警察への届け出有無はカード会社の指示に従う
- カード会社への届出日より60日以内の盗難・紛失・不正利用に対して補償を行う
- クレジットカードが不正利用されても返金対象とならない条件がある
- 毎月の利用明細票をチェックしていれば発見出来きる